グラサンオールバックの悪魔(♀) 2023-07-02 08:48:30 |
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あら、天使様を口説くにしては随分な褒め言葉ですこと。
こんなに慈愛に満ちた上級天使はなかなかおりませんことよ。
( 悪魔と同じ匂いがする。主の御許に仕える上級天使に告げる言葉でない彼女の言葉にアハッ、と可愛らしく笑って見せればこちらも冗談半分に上記を返して。彼女の凶悪にも見えるつり上がった口角に釣られるようにアリシアの口角もまた三日月のように釣り上がり、本来正反対の立場である悪魔と天使がよく似た笑顔で対峙しているというちぐはぐな光景が生まれる。が、彼女のまるでなんでもないというようなあっさりとした口調で告げられた言葉とひらりと視界の端で振られた彼女の右手に楽しげに笑っていた表情が一度ぴた、と止まり。そのままゆっくりと美しいブロンドをはらりと方から零しながらアリシアがうつ向けば、その小さな肩はふるふると震えて ─── 怒っているのか、悲しんでいるのか、哀れんでいるのか。見ている者がそう心配してしまうような少しの時間が過ぎた後、彼女のさくらんぼ色の唇から零れたのは「 あはっ、ふふふ。そう。死んだのね。お気の毒に! 」という愉悦に満ちた笑い声と、それからようやく首をもたげたかと思えば、普段の優しく慈愛に満ちた顔のなんら変わりのない満面の笑顔で。しばらく笑いが止まらないと言わんばかりに鈴の転がるようなくすくすと笑ったかと思えば、ズキズキと未だに痛む額を彼女に見えるように前髪をかきあげては「 でもきっと天罰だもの、仕方ないわね 」といつも通りの甘ったるい我儘でにっこりと微笑み。 )
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