銀河鉄道の夜　/ NBL、指名制、無登録

>ペガスス座

――……ああもう、喧しいな…。
( 意識を断ち切る方へ一直線に進んでやろうと決意の下、押し寄せてくる雄弁な少女の声に波状攻撃を受ける間にも狸寝入りを決め込んでいたが、張り詰めていたその気迫が次第に弱まっていくのを感じ取り、意図せず瞼を開いてしまった。それが失敗だった。哀願するように見つめてくる大きな二つの瞳に強く引き止められ、適当に流してしまえば良いものを、その姿にどこか気の毒さを感じて、思わず自分自身の薄情さを責めてしまう。再び寝てしまうことがこの混乱から逃れる最善の策だと思っていたが、それも無理なようだと理解した。どちらかといえば自分自身に対する苛立ちから、いかにも煩わしげに深い溜息を一つ。それから渋々といった態度で彼女に向き直り )
カムパネルラ…といったか？残念ながら、僕は君がさっきから呼んでいるそのジョバンニとやらではないよ。人違いだ。人探しなら他の乗客をあたった方がいい。