匿名さん 2023-03-24 20:11:47 |
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ん──……
( 再びのサプライズ訪問と彼女の花束への思いを知ったことで、どこか少なからず浮かれていたのだろう。問い掛けに前のめりな返答があると、目元を綻ばせ、穏やかな声音でそれに応じる──けれど。近くの部屋からドアを開く音が響き、人の気配が二人きりの世界に突如割り込んで来ては、はっと我に返って指先を掴んでいた手を仄かに弛め。幸いにも廊下に出てきたのは上の階の住人らしく何も見られてはいないものの、誤解されかねない行動を取っていたことと、ファッションリングとはいえ異性に指輪を贈ろうとしていたことに気付かされ、今更ながらに緊張が走る。「…俺も、ここにあったら映えると思います、指輪…」植物の葉から滴る露のごとく、中指の先端でやや留まってから手中を抜け出し、そろそろと腕を下ろしつつ紡ぐのは無理やりに会話の解釈を変える悪あがき。その拙い目論見が成功したにしろ失敗したにしろ、「ハーバリウムは二週間もあればできると思うんで。また寮に送ります」と傍の花弁に目線も話題も逸らせば、早々に交わすべき言葉は尽きてしまうだろうか。しかしもしそれで相手が帰る素振りを見せたのなら、最初の忠告も直前の失敗も忘れてごく自然に「もう帰るんすか?」の声がこぼれゆき。自分の耳に届いてやっと何を言ったか理解し、一拍遅れの「…や、」で取り消した後は、たとえどんな反応が何度返っても同じ句を繰り返すだけのbotと化してしまって。そしてこの日伝え損ねた〝大事にしてくれてありがとう〟は、水色のリボンが結ばれたハーバリウムにメッセージカードとなって添えられ、後日花瓶の返却とともに届けられることになるはずで )
…気を付けて帰って。
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(/ 悩みに悩んだのですが、物を渡しちゃうと「もう帰るんすか?」に強制力が生まれてしまうとか、今後のイベ案との兼ね合いとか、諸々の事情から今回はプレゼントスキップさせていただきました…!でもまた機を見て贈らせてください!そして一応こちらは〆となります…が、続きそうなら全然続けていただいて構いませんので◎ ※蹴り可 )
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