匿名さん 2023-03-24 20:11:47 |
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全然、繋がらないです…。
( 怖気付いて進めなくなったかだの、幽霊に連れ去られて神隠しに合ってるかもしれないだの、はたまた患者を救えなかった医師が亡霊となって解剖体を探して彷徨っているだの──心霊番組を制作するスタッフたちが集まっているだけあって、ロケバス車内はプロデューサーを中心に面白おかしく盛り上がりを見せる一方、『連絡取れないって大丈夫かな…』と囁き合う少数派も。特段大きくもない車内ゆえに座席の隅っこに座る自身の耳にも当然届き、つい頭の中では、幽霊が彼を壁の中に連れ去ってしまう妄想や、彼が解剖台に乗せられ身動きの取れないなかメスがきらりと光る妄想が掻き立てられてしまい。多分、ホラー映画で特訓したせいでそんな妄想が捗ってしまうのだろう。ひえ、と握った拳を口元に添えながら縮こまって怯えていると、『ひなちゃんからも、ちょっと連絡取ってみてくれますか?』こそ、と通路から女性スタッフが呼び掛けてきて。こくこくと頷きスマホを取り出しLINEを立ち上げては、通話ボタンを押して掛けてみたり直接携帯番号へ掛けてみたりするけれど、鼓膜に繰り返し届くのは電波が届かないだとか電源が入っていないだとかの自動音声だけ。ぽつりと伝えては、彼女だって怖いだろうに女性スタッフが意を決したようにぐっと拳を握っては『ちょっとあたし見てきま──』「わ、わたしが行きます!…す、傑さんには恩もある、ので」少し震えた声で言葉を挟みながら座席から立ち上がり。ホラーを大の苦手とする少女が突然そんなことを言い出すものだから『…えっ』とスタッフら数人の喫驚の瞳がこちらに向くのを感じる中、ずんずんとロケバスの通路を進み「いぃ、いってきます」と恐怖や不安の入り混じる表情を引き締めて言い残し、ロケバスを降車したなら『……えぇっ!?行っちゃったよあの子…まあすぐ引き返してくるでしょ』と高を括ったプロデューサーが中でぼやくはずで。恐怖心ゆえに軽い扉もなんだか重く感じるけれど彼の命には変えられなくて、双眸をぎゅっと不等号にしながら、えい!と思い切って扉を開いてみる。無理に開いてギッ…と音が鳴る扉から微かな冬風が入り込むと、存在の有無を尋ねるおっかなびっくりな問い掛けが無機質な廊下にぽつんと力なく落ちるだろうか )
──…すっ、すぐる、さん…?
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( / お世話になっております。前レスで展開が走ってしまっておりました、申し訳ございません…。途中の描写を少し挟まねばと思っていたら随分と冗長的になってしまいこの有り様()ですので、もし展開しづらいようでしたら続けてひな季の散策描写を入れさせていただきますのでご遠慮なくお伝えください…!特に支障ないようでしたら蹴り可です◎ )
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