「これはこれは、勇者殿ではないか。こんなところで読書かね?」 (中庭に植わる木々を眺めながら歩いていると、遠くの木陰で風になびく淡黄色を見つけて。見慣れない人物に誰だったかと一瞬思考をめぐらせば、そう言えば勇者一行に滞在許可を出したのだったと思い出し。本を開いてはページを進めることのない相手に興味本位で話しかけることにして)