学園長 2022-08-27 23:17:18 ID:d47138b85 |
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《Mission1-②》
【サブ=アキュート・ソディウム/スラム街 】
スラム街の中、ひらひらと舞う蛾が一匹。
落ち葉色の地味な色彩に、派手な目玉模様を遇らった羽根をひらつかせながら虫にしては嫌に長く、そして一方向に飛んでいる。
前触れもなくに羽根の端に炎が灯り、そのまま全身を包み込む。燃え上がる羽根は揚力を失い、蛾が地面に落ちゆく。最中、炎が一息に勢いを増し、その内から焼き消えた虫の代わりに、人が現れた。
??姿を人のものに戻して残り火を鎮める。右、左と爪先から地に足をつけ、息を一つ吐き出しては辺りを見回す。
親戚のことで少しばかりスラム街で大立ち回りする機会があったのだが、守備よく後処理をしたのだろう、むしろ不自然なくらいに視線を向けられない。
面倒ごとになるよりはマシだ、と前に向き直る。魔力と羽の残り香を辿ってツカツカと歩みを進めれば、荒んだスラム街には似合わない豊かな青緑の翼を見つけた。生徒会書記、アン・シュワーバー。振り向いた彼女の背後にゴブリンの幼子が覗いた。
「どうも……そちらの方は?」
スカートを持ち上げ膝を折り生徒等に挨拶をしてから問うた。
>>303 アン・シュワーバー、周辺ALL
《Mission1.5》
【サブ=アキュート・ソディウム/学園校庭】
学園祭の準備に勤しむ生徒たち。一大イベントであるそれに執心である生徒らの熱気は、園内だけでなく屋外にまで及んでいた。
要するに気合いを入れて大きな物を作ったので建物に収まり切らないのだ。して、その大きな物というのが、私の目で横になり、生徒たちのメンテナンスを受けている身長12mのゴーレムである。
魔道具造りを得意とする生徒達がチームを組んで造り上げたのだが、ギリギリの作業スケジュールに個々人の拘りや趣味趣向を詰め込めるだけ詰め込んだため、何かしらのミスがある事を前提とし、もしゴーレムが暴れても即座に鎮圧できそうな私が付き添いとして呼ばれたということ。
「随分、熱心に診るのですね」
メンテナンスに励む者の中、ゴーレムの腰の辺り、私に一番近い所にいる生徒にそう声をかけた。彼らのゴーレムへの接し方は、ただ機械や道具に対するそれ異なり、慈しみと優しさを込めたものであったからだ。
「……先生は『ゴーレム』の意味、ご存じですか?」
「胎児、ですよね」
そうです、と言いながらその生徒はゴーレムの表面に手をそっと添える。
「一から造ってみて、なんとなくその名前である意味が分かりました。未熟で危うくて、放っておけないんですよ」
「……なるほど」
愛おしむようにゴーレムを撫でる指先から、再び作業風景全体に目を移し、付き添いを頼まれた時の事を思い返す。
鎮圧する時にはなるべく手早く、あまり壊さないようにと強く請われたのだが、なるほど、彼らにとってこれは我が子に近いものらしい。壊されるなら苦痛は少なく、といったところだろうか。
「関節の保護パーツ薄くない?」
「それ仮設だよ」
「え、じゃ本パーツは?」
「たぶん倉庫?」
「……」
「……」
……まだ暫くかかりそうだ。私は好意で用意してもらった椅子に腰掛け、机に置かれた少し冷めた紅茶を飲んで一息つくことにした。
>>周辺ALL
(/一応「サブ=アキュート」で一纏めです!が!めんどくさいのでサブ先生で全く構いません!)
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