匿名さん 2022-08-21 15:03:38 |
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お前は本ッ当によぉ……、はぁ。――良い。俺がやるから、病人は大人しく寝てろ。
(此方の心を知ってか知らずか、小柄な頭の振られた方向は左右、果てに淡々と抑揚に乏しい返答を紡ぎだす無表情のかんばせをいくら見詰めようと、その秘された内情が透けることは無く。著しく短気な気性から思わず立腹の音が自身の喉を突き、半ば苛立ちまじりの不器用極まる憂慮をどうにも上手く処理し切れぬ内。ややあって肩を落とすと共に慣れぬ仕事の気苦労を長息として吐き出すと、少々きまり悪げに前髪をくしゃりと片手で掻き上げて。病身の子供ともなればもう少し要求がありそうなものだが、丁度腹を満たしたばかりであるが故に本当に欲心がないのか、はたまた偏屈にして難物な主人への遠慮か。日頃の無愛想な振る舞いの自業自得振りと己の子守りに対する不適性をひしひしと実感しつつ、一先ずは一種の諦念と共に食器を片付けようとする相手の手を静止し。有無を言わさず持ち去ったトレイごと扉へ靴先を向けた折、ふと視界に入った枕元の魔氷石に関する説明書きを口頭で放った後に、己への連絡方法を少々恨めしげな半眼で伝え。本来ならば地下室に籠り研究に没頭する所ではあるが、それでは相手が入室出来ず困ることもあるやも、などという性懲りも無い懸念が果たして役に立つかはさておき。少なくとも相手の自己卑下精神に基づく気丈な言動だけは阻止せねば、と廊下へ続く扉のノブに手を掛けて。そのまま相手から特に引き止めの声等がかからないようであれば、ダイニングで先刻の解析の続きに移行するだろうか)
……あぁ、その魔石は不要になれば適当に辺りへ捨て置けばいい。何かあればダイニングに来るか、そこらの精霊に言伝でもするんだな。
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