匿名さん 2022-08-21 15:03:38 |
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熱ッ……! ――お前っ、いつから……!
(いつもの慇懃な振る舞いとは僅かに、けれど明確に一線を画する萎れたような幼い謝罪が薄茶けた床へ静かに落ちる。一瞬、偽装した感情に波紋が生じるも、やはりどうしても柔らかな応対に変じる為の納得のいく理屈が己の内で構築出来ぬまま。愛想なく余分な謝辞など不要とのみ告げるか、あるいは黙殺か。極端に少ない手札から惑いつつ後者を選んでは、眉の立つ鋭い面持ちで相手の額に手を触れ――弾かれるような驚愕を得て身を引いたのは、想定以上の呪い等を感じた訳ではなく、瞬時に手の平へ伝播した熱の高さからだ。刹那の接触といえども、それが他者の害意による物ではなく、一般的な病魔や肉体的疲労に起因する物である事程度は即座に感じ取れ。明確な狼狽を顕にのぞき込んだ先の双眸と自身の視線が確り絡む事はなく、ふらふらと焦点すらも失い明らかに尋常ではない様子で。どの程度深刻な物であるかは流石にもう少し調べない事には不明瞭ではあるが、憂慮や焦りを取り繕う余裕など一瞬で消え失せれば躊躇い無く再び身を屈ませて。もし相手が抵抗を示さないのであれば、背と膝裏に腕を通し小柄な体躯を持ち上げるや否や、懸命な面差しで急ぎ己の自室へと向かうだろうか)
……歩けるか? いや、連れて行った方が早いか……動くなよ。
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