匿名さん 2022-08-21 15:03:38 |
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……いや、別に問題がある訳じゃ……、――少し待っていろ。先に会計を済ませてくる、他にも目ぼしい物があるなら見繕っておけばいい。
(単純に疑問した点について問いを投げたまでの事、しかし対する面貌は次第に表情を弱らせ、眼差しに不安を湛え此方を見上げる様はもはや捨てられかけの仔犬のようで。依然として疑問の解消には程遠い回答の後にはたと相手の変容に気が付くと、否を告げるべく手元の瓶から視線を持ち上げた折。意識外にある方角から自身の鼓膜を微かに震わせたごく密やかな笑声へ、少々気分を害されては訝しげに眉を潜めた顔貌を鋭くそちらへと。奥懐にあるカウンター越しの席へ着座する初老の店主はしらと澄まし顔で画材の整備に努めており、感情の色に欠ける横顔からは正確な意図までは掴めないものの、些か長く店頭を占領する自分達への文句か、はたまた妙に迂遠な問答への嘲りだろうか。店主の内心がどのような物であるにせよ、既に購入物は決まった事だと黒衣のローブを翻すと、残る少年へ命を下してから小瓶のみを片手に店奥へと歩を進め。品の良い口髭を湛えた相手は近付く足音へ鷹揚と視線を持ち上げる以外に特段の反応は見せず、此方が少々つっけんどんに購入の希望を端的に提示してもなお最低限の了承を返すのみであり、傍らにある使い魔らしき獅子も仕事のない今は子猫のように丸まり大人しく瞼を下ろして。顔料ついでにキャンバス等の本格的な画材を適当に幾らか注文するも、例の転移用の扉は植物がその花弁を閉じるように夕刻頃にならなければ現れず、手荷物に加えるにしては流石に嵩張るだろうそれらについては帰りがけに寄って持ち帰る事になるだろうか。淡々と仕事に徹する相手が最後に小箱へ収めた先の顔料を自身に差し出すと同時、貫禄のある風貌にしては意外に柔らかな光を深い目尻の皺の奥に湛えて二言。「……要らぬ世話かとは存じますが。――きっと良い絵を描かれるでしょうな」何かを見透かしたような眼差しが自身の金眼と小箱、最後に外の少年を収めて発されたそれはあまりにも要領を得ず、世辞にしてもやけに含みのある不明瞭な言葉に一瞬毒気を抜かれては、もはや困惑を極めた応答を凡に返す他あるまい。さて、時は暫し前に遡り。自身が店の奥へと消えた直後、相手の近くには大きな移動販売用のリヤカーがガラゴロと現れており。広々とした台の上には如何にも古典的ながらボタンを押下する事で自動的に卵を割る機械や、鍋底に設置された魔石により微弱な水流を生み出しパスタを茹でる縦長鍋、ゲテモノ料理の筆頭たるスライム捌き専用包丁など、極めて用途の限定された品々が派手なエプロンを装着した青年により大袈裟かつ巧みな話術を用い次々と披露されていき。自身が小声で不可解をぼやきつつ店を出たのは丁度その実演販売パフォーマンスの佳境たるタイミングと相成って)
? ……はぁ。――何なんだ、あの店主は……。
(/お蹴り下さいとの事でしたが、所用によりこちらの返信が間に合わず、申し訳ありませんでしたとだけ伝えさせてください……! お忙しい中、ご丁寧に連絡を入れていただきましてありがとうございました。また、そろそろ頃合いかな……? とリヤカーを向かわせてしまっておりますが、もし何か画材屋で入れたい描写などございましたら、リヤカーの来るタイミングは後に回していただいても構いません。それでは以降もよろしくお願いいたします!※蹴り可)
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