検索 2022-07-09 20:46:55 |
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…ハ、ぁ……フィリップ?…、…
(相手にこちらの血が取り込まれる度に思考の浮遊感は増していく、その心のままに浮かんだ気持ちを言葉にすれば抱き締めていた体が熱を持った。吸血鬼でも体が熱くなることかあることに、そして何よりこちらの好意の言葉に反応したことに、ただただ幸せを感じて擦り寄る相手を横目で見たまま緩んだ笑みを浮かべていた。やがて肌に刺さっていた牙が抜かれる、次の位置を探す間、心が動くまま耳に口付ければ相手の顔がこちらへ向いた。てっきり吸血を続けるものかと思って伺うように名前を呼べば優しく頬を撫でられ特別大切なものを呼ぶ声色で名前を呼ばれ、そこに乗った想いごと受け取れば幸せで脳が蕩けていくようで無意識のうちに熱い息を吐く、そのまま唇が重なった。首筋からまだ血は流れている、それが極上の味だというのにそれよりも相手は自分との口付けを選んだ。その事実を理解すると喜びが胸に咲き誇って相手の体をぎゅっと強く抱き締める。この想いが少しでも伝わるように重ねた唇に軽く吸い付いて小さく高い音を響かせた。相手と想いが通じ合うことが、これからもずっと一緒にいられることが、こんなにも幸福だとは思わなかった。だがひとつまだ相手から聞いていない言葉がある、行為と重ねた言葉ではなく自分だけを対象にその言葉を聞きたい。重ねていた唇をそっと離すと至近距離で蕩けた瞳で見つめながら「フィリップ、」と名前を呼ぶ。相手を抱き締める腕にまた自然と力が籠って「俺のこと好き?」と問いかけて)
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