検索 2022-07-09 20:46:55 |
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フィリップ……俺に、どんな奴がお前に襲ってきても倒しちまえる強さがあったら……それに、どんな奴も容赦なく叩きのめす覚悟があったら……お前を絶対に守れるのに、俺はどっちも持ってねぇんだ
(頭に血が上って視界が真っ赤に染まり酸素が薄れれば呼吸が粗くなる、二度と相手に痛みを与えないために、ましてや死に追いやることがないように、一番いいのがこのやり方なのは決まっている。謝罪を口にすれば力の抜けていた腕はこちらに再び回されて抱き締められる、その心地に心底安心して心は満たされてゆっくりと息を吐き出した。相手に降り注ぐ槍を全て払い除ける力も覚悟も自分には無い、単純な実力不足な上、この街を愛するが故に非情になりきれない自分、そのどちらもが相手を守るのに足りない。どうしたって足りないのなら相手を守る方を固めればいいのだ。頭を撫でていた手を頬に添えて親指の腹で愛おしげにそこをなぞりながら瞳にスっと陰りを宿せば「だからこれが一番なんだ、フィリップ。お前には窮屈な思いさせちまうが…でも、お前が何処で生きているか、知ってるのは俺だけでいい」と告げた。場を切り替えるように笑みを浮かべれば「コーヒーだったな。いれてくる」と声をかければ腕を解いて事務所スペースへと上がっていき)
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