検索 2022-07-09 20:46:55 |
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…随分おしどり夫婦だったみてぇだな
(宝石のようなスイーツはショーケースからテーブルに移動してきて華やかな輝きを放っていたが不意に彼女の表情が変わる、その顔と呟きで彼女が誰を想っているのかは容易だった。相手が問いかければ彼女は歳不相応な年季の入った笑みを浮かべる、添い遂げた人を想って、でも悲しみはいつまでもそこにある、そんな表情だ。目の前の輝きを、喜びを、大切な人と共有したいという気持ちは嫌ほど分かって一瞬の沈黙が流れる、しかし彼女の口調から旦那さんをこの上なく大切に想ってきたことはヒシヒシと伝わっていた。一緒にいることをここまで細かく想像できるのはその人の事をよく知っているからだ。思わずその推測を口にすれば彼女は少々照れくさそうに笑ったあとパッと顔をあげて『あーダメダメ!普段なら血糖値だ血圧だって言われてこんなにたくさん甘いもの食べられんのだから!はよぉ食べないと』とまた表情を明るくさせてスプーンを手に取る、すぐさまプリンをひとすくいすると頬に手をあてて『んー!美味い!ほら、はよ食べて』と場の空気を変えるように急かされて)
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