検索 2022-07-09 20:46:55 |
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…あぁ、そうだ。俺とお前とアキコだけが家族だ。お前の両親は、記憶がねぇだけだからどっかにいるかもしれねぇが……少なくとも俺にはいない。俺の両親はもう死んだし、顔も覚えてねぇ。俺の両親はもう死んでる
(潰れた車の下敷きになっている両親を見て相手はかなり動揺していて恨めしげに非難する声に謝罪さえしている、その言葉は自分の胸にも鋭く突き刺さるがやはりこの状況はどう考えてもおかしかった。気持ちを無理やり押し込めて事実だけを口にする、相手の意識はこちらへと向くが弱々しい声でまた両親のような何かに名前を呼ばれると嫌でも胸が苦しくなった。相手がこちらの腕を掴む、こちらも真実を見失わないように相手の肩に片手を置いて気持ちを押し込め頷いた。相手が記憶喪失である以上両親が存在する可能性はあるが少なくともフィリップには親がいない。そしてそれよりもより確実に、自分には親がいない。死に際は知らないが確かに墓に線香をあげたことがある、それこそが紛れもない事実で感情に流されそうになる心を引き戻すために何度も両親が死んだことを口にしていた。だがそれに伴って顔色はますます悪くなってくる、上手く息が出来なくてここに長居するのは良くなさそうだ。こちらを掴む相手の手を取り「行くぞ」と声をかければ両親は『置いていかないで』『助けて』とそれぞれ縋るような声を出す、息を吐き出せばそれは震えて「俺に両親はいない」と唱えるように言えば元来た道を引き返し始めて)
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