検索 2022-07-09 20:46:55 |
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……そうだな。ここにあんのは全部偽物だ。
(通路に掲げられた写真はどれも身に覚えの無いもので、しかし心のどこかで望んだものでもあって心がザワつく。親がいない分この街の人に愛して貰ったと自覚しているがそれでもこんな光景があったのかもしれないと体の奥深くの場所が締め付けられる気分だった。思わずぼんやりと写真を見つめてしまうが相手から声がかかって意識を引き戻す、頷いてとっととここから去ろうとした。しかしその瞬間に『翔太郎』と女性の声が聞こえてくる、相手にはそれが『フィリップ』と聞こえた。呼ばれるままに目線を向ければ通路の一番奥に女性と男性がひとりずつ立っていてにこやかに手を振っている。『早くおいで』と声をかけるその人物に覚えはないのに、彼らが自分の両親だと確信する。あるいはこの異変によって確信させられたと言った方がいいかもしれない。相手も同じく目の前の男女が両親だと思い込まされて、息子を呼ぶ声は柔らかくて暖かい。いつもは機能するはずの探偵の勘さえ働かなくて目の前に居ないはずの両親がいる状況に上手く息が出来なかった。前にも後ろにも進めないまま「違う、俺の両親はとっくに死んだ」と自分に言い聞かせるように呟く、直後曲がり角の先からけたたましい音と共に車が突っ込んできて両親を巻き込んで壁へと激突した。二人の体は力無く宙を舞って潰れていく車に巻き込まれていく、土埃が収まった時には瓦礫に二人の体が埋まっていて【両親の事故死】を目の前で見せつけられれば体は固まったまま頬に冷や汗が伝って)
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