検索 2022-07-09 20:46:55 |
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……カナ。悪い、俺には心に決めた人がいるんだ
(彼女が自分を求めて事務所にやってきた理由は良い肩書きの駒を手に入れるためだった、幼馴染のそんな思惑にさえ気づけなかった自分に情けなさを感じていれば、彼女は命をかけた取引を持ちかけてきて目を見開く。相手を襲ったとはいえ操られていた男達を見殺しにするわけにもいかず、彼女にこれ以上罪を重ねさせるわけにもいかない。自分と引き換えに事が済むならと彼女へ近づこうとした。しかしそれを引き裂くように、あるいは光が差し込まれるように、相手の声が響く。いつも通り理路整然とロジックを積み重ね相手は見事に彼女がまたひとつ重ねた嘘を看破してみせて、その鮮やかさにただ立ち尽くすしかなかった。一瞬動揺を見せた彼女だったが、自分が正しいのだと口にしながらこちらへ口付けようと迫る。間近に来た彼女の両肩に手を置くと、こんな場面にも関わらず表情を崩すようにして笑みを浮かべた。それを見た彼女は自分を選んだのだと首の後ろに両腕を回してこちらを引き寄せようとする。しかし、両肩に置いた手でそれを制して、まっすぐ彼女を見つめながら気持ちに応えられないことを伝えた。驚愕の表情を浮かべる彼女の体を離して相手の方へと振り返れば「やっぱり俺はお前がいねぇとダメみたいだな、フィリップ」と観念したように笑う。相手の方へ歩み寄ればその左側へと立って彼女と、この一連の事件の犯人と対峙する。彼女は自分ではなく相手を選んだこちらに激しく動揺して『なんで?私との時間の方が長いのに!翔ちゃんを幸せにしてあげるのに!』と金切り声で叫んで、再びメモリを取り出すとド.ー,パ.ン.ト.へと変貌した。相手に言わなければならないことは山ほどある、だがまずは彼女に罪を数えさせるのが先だ。切札のメモリを構えると「いくぜフィリップ」と右側へと呼びかけて)
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