検索 2022-07-09 20:46:55 |
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お前も同じ香りになってんだろ……ったく、誰のせいで、……
(唇は離れていくがそこへの感触は未だにハッキリと残っていて、ついでに自分の頬がいつもよりも明らかに熱いのが分かる。目は逸らしたものの相手の視線は未だこちらに真っ直ぐ向いているのが視界の端に映って、この醜態をじっくり観察されているのだと思えば恥ずかしいような、だが相手からそんな視線を注がれるのは嬉しいような、複雑な感情を抱えて余計にゆらゆらと視線を揺らしていた。相手は特別に上機嫌でこちらの顔も桜色だという、きっと特段濃い桜色だろう。その文句をまた口にしていれば頬に再び柔らかな感触が降ってきてまた体を固める。散々自分からやっていたがこの状態では更なる追い討ちとなって鼓動が相手に聞こえるのではと錯覚するくらいにはさらに早くなる。その間に相手はもとの体勢に戻ってしまってまた穏やかな時が流れる、だが自分だけがまだ元に戻れずじまいだ。ややヤケクソ気味に相手が持っていない桜餅をひっつかむと勢いのまま齧り付く。だがそうなると口の中に広がるのは桜の香りで、先程の行為と今日これまで見てきた桜の中にいる相手の姿がフラッシュバックすれば、全く鼓動の勢いは衰えそうになくてノックアウトされたように項垂れると「桜餅食えなくなっちまいそう…」と呟いて)
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