検索 2022-07-09 20:46:55 |
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…、……あぁ、まぁ…そうだろうな………フィリップ…あいつが、俺の影が言ってた事…俺はあれを全く思ってねぇとは言いきれねぇ
(無意識に相手の方を見つめる、物理的な距離としては近づいたはずなのに相手との精神的な距離が恐ろしいほどに遠い。目の前にいるのに触れることさえ叶わない気さえする。重苦しい痛みを抱えていれば不意に相手の視線があがる、しかしその顔はすぐさま歪んで顔を逸らされてしまった。それだけで相手が自分の鏡像に言われた事でどれだけ傷ついたか容易に想像できてこちらも目を伏せた。チョコレートも、コーヒーさえ口にする気にもならなければ暫く時間が静止したようだった。そんな中で相手が空気を変えようとしたのか普段通りの口振りで話しかけてくる、だがその声は無理をしているのが分かる程度には張り詰めていてそれが余計に痛々しい。どう返事をしていいかも分からず生返事をしながら無理やりコーヒーを胃へと流し込んだ。喉から胃へと落ちたコーヒーはやはりじわりと染み渡っていく、相手がいれてくれたコーヒーはこの空気に反して固まった体を解してゆっくりと息を吐き出した。顔を上げて相手の方を見る、未だ目は合わないが今回の件を無視したままではきっと元には戻れない。軽く呼吸して相手の名前を呼んだあと、詰まりかけた息をなんとか吐き出して事の核心へと踏み出した。あれが自分の影である以上自分の一部であるのは揺るぎない、意識の奥底で相手に対してメモリを作った人間であるという思いが残っているのだ。だがそれは変えられない事実であの夜に相手へ掴みかかった時に抱いた思いでもある。だがあの日からここまで短く無い時間を過ごしてずっと相手を見つめてきた、相手から目をそらさずに「でも俺はお前がそれをちゃんと罪を背負って償って今も走り続けてんのを知ってる。ずっと俺の隣でそうしてたのを、ちゃんと俺は見て知ってる。だから俺は、そんなお前の隣でこれからも相棒でいたい」と自分の気持ちを真っ直ぐに伝えて)
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