検索 2022-07-09 20:46:55 |
|
通報 |
フィリップ……あーー言っちまったなぁ。ほんとは花火の後に言うつもりだったのに。……まぁでも、一秒でも早く言いたかったし、恋人にして誰も手が出せないようにしたかったしな。
(相棒の返事を静かに聞く。正直答えなんて分かっていたようなものだ。だが右も左も分からなかった相棒が正しく好きだという気持ちを理解して、なお自分を選んでくれたことが堪らなく嬉しい。溢れ出る嬉しさは表情に現れて、満面の笑みを浮かべながら噛みしめるようにその名を呼ぶ。これからはもっと互いの境界線はなくなっていくだろう。互いに誰も踏み込んだことのない領域まで知ることになる。だがそれを恐ろしいと思うことはなかった。互いに相棒という底なし沼に足を取られようと、きっと幸せに違いない。これで晴れて相棒は恋人となった。嬉しいやら恥ずかしいやらで表情が崩れそうになるのを誤魔化すように頭を掻きつつ本来のスケジュールを明かす。夏祭りでデートと言えば一緒に露店を楽しんだあとクライマックスで花火をみて、高まる気持ちのまま告白するのが常套手段だ。だがそんなものをまるまるすっ飛ばしてしまうほど心が動かされてどうしようもなかったのだ。相変わらず感情優先で動いてしまったが、今は探偵ではない。だからこれで良かった、後悔なんてひとつもない。目の前に立つ相棒改め恋人の双眼を見つめながら、幸せを噛みしめるように息を吐いて)
| トピック検索 |