検索 2022-07-09 20:46:55 |
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っ、フィリップ…………お前が、こんな……俺でいいなら、……こんな、ガキでいいなら…今日は、このままでいる
(相棒の言葉で初めて、というより生まれて初めて、心臓がはち切れる程に脈打ったのが分かった。自分の体から音でも鳴ったんじゃないかと錯覚するほどの衝撃。こういうのを心を鷲掴みにされたとか、心を射抜かれたとかいうに違いない。心臓が激しく脈打つ、先程手を繋いで歩いていた時よりもっと激しく、体が熱い。おやっさんが居なくなってからずっと背伸びをして、それでも足りていない自覚はあった。元が不良学生の自分では常に背伸びくらいしなければあの事務所を引き継ぐことが出来ないと思っていた。それを苦痛に思ったことなんてなく、むしろ背伸びが板についているとさえ思っていた。だが今自分はそんな背伸びも忘れて確かに地に足をつけていて、何も考えずただ笑っている。そんなありのままで良いと言われたのが自分の全てを受け入れられた気がして、そしてその言葉が何より信頼を置く相棒の口から出て、たまらなく嬉しかった。ずっと背伸びをしたせいでどこか子供扱いしていた相棒と初めて同じ目線に立った気がする。そして今明確に心を奪われたと思った。口元を隠していた手が取り除かれる。すべてを曝け出した状態でこちらを見る相棒と目を合わせようとするが数秒ともたずにそらしてしまう。目が合うだけで感情が溢れてどうにもならないのだ。数秒目をあわせ、またそらしてを繰り返しながらなんとか言葉を紡いで返事をし)
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