検索 2022-07-09 20:46:55 |
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……ダメだ。今日こいつと花火見んのは俺だ。絶対に譲らねぇ。
(エリザベスにとってはなんてことのない誘いだったのだろう。知人が自分と年が近い男といて、その子を誘っただけ。彼女らへの恩や相棒の友好関係を広げるために自分が一歩引くのも年上としては取るべき選択肢だろう。だが今日は二人で出掛けるようになってから最初の行事だ、まだやれていないことは山程あるし、そこで相棒の初めての体験を見ることだってできる。そんな相棒の姿を誰かに取られてしまう、そんなこと耐えられないという言葉が喉元までせり上がって息をつまらせた。幸い相棒が断ってくれて事なきを得たと思ったが、彼女がさらにオネダリしたのは花火の約束。直後先程のクイーンの言葉が脳内でリフレインした。もしあのジンクス通りになれば相棒が自分ではない誰かと自分達が築いた以上の関係になる。そう頭によぎった瞬間に世界が止まったように思えた。きっとエリザベスも本気じゃないだろう、あんなの冗談半分だ。だがその冗談から始まって相棒が隣からいなくなってしまったらどうする?相棒の隣はいつでも、どんな関係においても、自分でなければ気がすまない。相棒からの助け舟の要請に気づく前に、その腕を引いて自分の方に引き寄せていた。同時に余計な思考回路を通らない言葉が口から出てくる。それらはまるで子供じみた言葉だったが、それが心の奥底から出てきたそのままの気持ちなのだから仕方がないだろう。エリザベスはこちらの行動に呆気にとられていたが、クイーンは何やら察したようでニヤケ顔をこちらに向けてくる。こちらの思考を見透かされたような気がして恥ずかしくなるが、ここは絶対に引くことできない。耳のはしを赤くさせながらも譲る気はないと相棒の腕を掴んだままでいて)
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