検索 2022-07-09 20:46:55 |
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確かにイカ焼きってお祭り以外で食う機会ないよな。シンプルにソース塗って焼いてるだけなのに。お、ありがとよ………………ん、美味い。なんかこれ食うと祭りに来たって感じだよな、ハハ…
(イカ焼きの店の前は香ばしいソースの香りと磯の香りが混じり合っていて空腹には刺激の強すぎる場所だ。まずは屋台を楽しみにしているであろう相棒に一口目を譲ったが、イカ焼きを手にする様子を見て思わず腹が鳴りそうになる。やがて相棒が一口それを食べ始めた。他人が食べているのをみると余計に欲しくなるもので、その様子をじっと眺める。だが次第に目線はイカ焼きから相棒の方へと移って、「初めて」を体験する様子を見守っていた。美味そうに食べながら分析を行う姿は心底楽しそうで、それだけでも連れてきたかいがあったと思える。相棒はひとまずイカ焼きについてデータを取り終えたのか、こちらにイカ焼きを差し出してくる。それを受け取り、空いた腹を満たそうとしたが、そこで動きを止めてしまった。これから相手が口につけたものを食べるのである、そのことを意識するとまた変に思考が巡ってしまった。男同士ひとつの食べ物をシェアするのなんて日常茶飯事、今まで友達とそういうこともしてきたし、そんなことよりも早く空腹を満たしたいと腹は訴えている。だがなんでも一緒で、お揃いにまでなっている相手が食べたものというだけで、なぜこうにも躊躇してしまうのだろう。イカ焼きに残った齧り口には相棒の歯型が残っている。そこを見ると無条件に胸がざわついた。だがここで動揺するのはおかしい、今まで他人としてきたことを相棒とはできないなんて、その理由を問い詰めなくてはならなくなる。イカ焼きの欠けた部分から相棒へと目線をうつし、その後顔を明後日の方向へ向けると、ようやくイカ焼きへと齧りついた。露店のものよろしく味は濃いはずだが、味を感じる余裕はなくぎこちない笑いとともに咀嚼して)
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