検索 2022-07-09 20:46:55 |
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____あぁ、そういやあったな……そんなの。
(窓の方を眺めながらまた一口飲み慣れないウィスキーを口にする。カランと氷がグラスの中で小気味良い音を立てて揺れた。アルコールのせいで体がふわりと浮いた妙な心地になる。だがそんなリラックスした状態だからこそ頭が解れて次々言葉が浮かんできた。荷物を整理する相棒の姿を横目でみやる。相棒は大切な存在だ、それは間違いない。それは今まで相手がおやっさんの置土産だからと思っていたが、今日ようやくそうではない可能性に気がついた。一緒に何かをして笑って思い出を作る。きっとそれは世間では当たり前のことだが、ただ探偵を目指し走っていた自分にとって、知り合いは多くとも誰かと深く関わった機会が少ない自分にとって、それはとても貴重で手放したくない行為だ。再び視線をもとに戻してまた一口、ぐらりと思考が揺れる。もしも、あいつとの相乗りが終わったらどうなるのだろう。例えば自分よりももっと相性のいい奴が現れて、あいつとのダブルが自分ではなくなったら。「だめだ」と考えるよりも先に言葉が出る。そして胸になにかが刺さるような苦しみに襲われた。街を守る力がなくなるからだとか、そんなちゃちな理由ではない。隣から相棒が消えてしまうのが、耐えられないと心の底から思った。こんなにも相棒への気持ちが膨らんでいたことに自分でさえ驚く。いつの間に、こんなに気持ちが膨らんでいたのだろうか。視界が心地よく揺れる、同時に奥底に潜んでいた相棒への執着が溢れ出す。ほぼ無意識のうちまた一口グラスの液体を飲み込むと、相棒の声が聞こえてきた。ゆらりとそちらへ目を向ける、グラスをデスクに置くと覚束ない足取りで立ち上がりそのまま近づいていき)
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