……嫁、よ。此方、に。 (しばらく歩き、外からは中を、中からは外を伺い知れぬよう、窓には桐の御簾を全て降ろした薄暗い奥座敷へと着く。自身は奥に一つぽつんと置かれた、厚い座布団を敷いてある座椅子に腰を下ろし、羽織を脱ぎ、布越しに薄っすら微笑むと蠢く腕が新たな「嫁」をもう一つ、自身の座椅子の正面に置かれている座椅子へと一斉に手招く。吹き抜ける風が鞍馬の長く、長く伸ばされた髪を微かに揺らして)