匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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(ひと月かかった大型クエストも無事片付き、経費の計上や扶助の申請、報告書の提出のためギルドに立ち寄っていたその日。自分と業務上の会話をしていた顔なじみの事務の女性が、ふと視線を外したかと思えば顎をしゃくってみせたので、そちらを振り向き……すぐさま後悔した。視線の先にいたのは、協力募集書らしき紙面に目を落として難しい顔をしている、冒険者の娘だ。さして珍しくもないそれ自体だけならば、別に何も思わなかったはずだが。その奥、部屋の隅の方で彼女に話しかけたそうにしている、見慣れない中年男ども。彼らが若い娘に投げかける非常に怪しい目つきにまで、気がついてしまった。「あの子は美人で明るいから、若い男の子たちにモテてるけど。綺麗な花って、害虫も呼び寄せちゃうのねえ……」呟きながら見上げてきた事務員、その目の中に無言の圧を拾ってしまい、思わずこぼれる深いため息。信頼されていることを喜ぶべきだろうか。「……あそこの新顔の連中はしっかり調査してくれよ」、その一言を別れの合図として告げながら、渦中にいる娘の方へ。何回か顔を合わせたことはあるので、多少気安く話しかけても大丈夫だろう。如何にも自然な声をかけながら、隣までやってきて。)
どうした、ヴィヴィアン。困り事か?
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