匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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そんな……私自身は大したことは何も。
でも、ギデオンさんのお役にたてたなら嬉しいです。
( 相手の体調の確認も済み、大好きな相手からの感謝に、えへへ、と促された椅子に手をかければ、長い脚を斜めに引き美しい仕草で腰掛けて。そうして、受け取った記事に、ギデオンからの評価を実感し、じわりと頬を赤く染める一方で、形の良い眉尻を八の字に下げ、「大事にならなければ良いんですが……」と、自分らが免れた不穏を他人事として、僥倖だったと切り捨てられないのは性分だろう。どこか複雑そうな表情で、読み終わった新聞を返しながら、代わりに差し出された書類に「サイン?」と小さく身を乗り出せば。慣れた動きで魔導率の良いペンをふわりと浮かせて引き寄せると、椅子ごとテーブルの方へと向きを変え、長い睫毛を揺らしながら、また小さい文字の並んだ書類を、特に苦もなく目を通していき。 )
…………。……!!
ギデオンさん、これ……!!
( そうして、まずは一枚目、それから二枚目の『魔獣討伐者身元保証書』と『第2号連帯保証書』に視線を滑らせていた時は、まだ困惑しつつも悪くなかった顔色が、『一通扶助新規適用届』に至った瞬間、さっと薄く青ざめる。本来であれば、『相棒届』に対しても、何故こんなに唐突にだとか、人の承諾を得る前に申込もうとしてくれるなだとか、そもそも勝手に人の情報に当たるなでも。ギデオンの少し(?)行き過ぎた行為から守るべきは自分の身だったろうに、問題の書類を見た途端全て吹き飛んでしまい、思わず立ち上がりながら、必死の表情でギデオンの方へ向き直り。 )
違うんです!!
パッ……父は!! 元々ちゃんと入ってくれてたんです!!
更新を……更新を、わ、"私が"、忘れてただけなんです!!
( 本当は、違う。ヴィヴィアンはその保険の通知先を、ガリニアのギルバートの住所にしていた。故に約3ヶ月ほど前の更新手続きの書類も、そちらに届いているはずで。しかし、借りぐらしのアパートにまともに帰りつきやしないのか、それとも見た上で失念しているのか。どちらにせよ、忙しい父親に催促するのが申し訳なくて、躊躇っている内に切れてしまった保険を相手に見られたという焦燥が背中を濡らして。たった一人の肉親から、あまり関心を向けられていないだなんて、寄りにも寄ってこの人にだけは知られたくない。ましてや、"パパの大切な人を殺した私が悪いのに"、私のせいでパパの評価が下がるのはもっと嫌だ。その一心で、相手の拳を両手でとると、どこか焦点の合わない必死な視線で、父の名誉を守ろうとすがりつき。 )
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