匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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(医療用具を黒鞄に詰め直した医者は、「カレトヴルッフにもカルテを送っておくので、一応三か月に一度、そこの魔法医にも診てもらうように。……ついでに、この魔素のこととアナタの怪我のこと。傷の進行以外でちょっと気にかかることもあるんで、魔導学院なんかにも共有させてもらいますからね。念のためね」と、とどめの台詞も残していった。そうして一連の診察が終わり、昼下がりの宿の部屋に二人きりになれば。後輩たるヴィヴィアンの前とは承知の上で、背面のベッドに身を倒し、片手で顔を覆いながら深い深い息を吐いた。奇跡的な治療法が見出されたとはいえ、まさかそこまで厄介な代物だったとは。しかし思えば、特に闇属性相手に高い防御力を発揮するはずのミスリルですら貫通した呪いだ、そこらの魔法では比べ物にならないレベルの高い致死性も当然である。……つくづく、他の誰でもないヴィヴィアンのおかげで、自分は今ここに生きていられるのだろう。それを再確認すれば、掌をどけて半身を起こし、両腿に肘を置く形で相手に向き直り。二度の依頼を共に乗り越えてきた彼女相手に改まるというほどはないが、それでも礼儀はきちんと尽くしたいと、軽く頭を下げ。)
……当面の間、世話になりそうだな。よろしく頼む。
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