匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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( 普段は冷静なギデオンがこんなに狼狽えるなど、本当に一体何があったのだろう。差し出されたハーブティーは、本当は自分が相手に淹れてあげるつもりだったのだが、ギデオンがこのお茶を『精神安定に良い』と感じてくれているのなら、それもまた実に素晴らしいことで。「お疲れ様でした」と相手のキスに軽く答えて、カップに小さく口をつけると「……うん、美味しい。ありがとうございます」と、可愛らしく、あどけなく微笑む恋人へ、再度慈しむように唇を小さく落として。頭の下で緩くまとめていた三つ編みを解きながら、長い長い脚をゆったりと放り出した相手の様子に、なにやら微かな緊張を感じ取ると。空になったグラスをサイドボードに置いてから、ベッドが軋む音をたてながら、ゆっくりとギデオンに向き直る。そうして、相手の目元や頬、髪をすりすりと撫で始めた、寝る前の乾いた温かい掌は、それまでの穏やかな余裕と共に、ギデオンの言葉にぴたりと動きを止めたのだった。 )
エレン、スゲ……、!
( 最初はそれが、どうして問題になるのか分からないといった様子で、きょとりと目を丸くしていた表情が、一瞬なにか気づいたかのように煌めくと、白い頬、耳、首、ゆったりとしたネグリジェから覗く胸元までが、みるみるうちに真っ赤に染まっていく。言わずと知れたエレンスゲの謎な"嗜好"、冒険者であるビビも勿論知っていて、今日起きたこと全ての合点が一気についてしまう。歳若い女性にとって、己の性事情を知られるなど気持ちの良いものでは全くない上。もとより──処女、ということに、そこはかとない罪悪感を持つヴィヴィアンにとって、数少ないベテラン達とはいえ、その事実を知られてしまった状況は辛い。しかし、彼らがこれ以上なく紳士的な対応をしてくれたことも、続けられた説明から確認して。行き場のない羞恥を、クラクラと目眩のする頭額を相手の分厚い肩に預けると、困ったように眉を八の字にゆがめて、二人きりだからこそ聞こえる小さな声で。前髪がぐしゃぐしゃになるのも厭わず、相手の肩に押し付けて。 )
…………、ギデオン、さん、だけにしか、知られたくなかったのに。
でも、出来るだけ大事にならない様にしてくださったんですよね、ありがとうございます……、はやく、
……早く、ギデオンさんのものにしてね……?
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