匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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手厚ッ……わざとじゃないんです、ごめんなさいっ……!!
( うわぁん! と、間の抜けた悲鳴が響いて、それまで冷静に杖を振るっていたヴィヴィアンが、申し訳なさそうにギデオンへと飛びつく。そんな愛しい娘の姿に、思わず目を奪われたのは他でもないギルバートだ。──男の脳裏に蘇ったのは、もう25年以上も昔のこと。やはり危険なドラゴンを前にして──手柄をくれてやるわ、と。娘たちとは違って、自分達は微塵も通じあっていなかった。ずっと巫山戯た奴だと思っていた同期の女、未来の妻に思いっきり吹き飛ばされて。今回のギデオンと同じか、もっと容赦ない高さから叩き落とされるその瞬間に見た、勝利を確信した笑みを浮かべる、シェリーの美しさといったら──「……アレ。ビビちゃんからの一目惚れで、坊やはずっと断ってたのよ」最後には捕まっちゃったけど、と。古い記憶に囚われていたギルバートを引き戻したのは、その肩を支えている旧知のヒーラーだ。──確かこの女も、シェリーと同時期に娘を産んだ人の親だったはずだ。同年代の娘がいる"母親"は……、カノジョは今のヴィヴィアンを見てなんと言うだろう。全くもって、憎らしいことだ。「当然だ。僕の娘が狙った獲物を逃がすわけないだろう」 そもそも、あの男の分際で、ビビちゃんを一度でも振っただなんて身の程知らずな奴め。そう脳内で吐き捨てたつもりだった悪態は、どうやら全て口から漏れていたらしい。不器用な父親に対し呆れた女のため息は、ドラゴン討伐完了の歓声に掻き消されたのだった。 )
お陰様で良好です、
……ギデオンさんも。今は大丈夫でも夜に痛くなったりするんですから、……ほら、ちゃんと見せてください。
( 過保護なギデオンの触診に、うっすらと瞳を細めて好きにされていた娘は、しかしその指をゆるく取られた途端──逃がすものか、といわんばかりの勢いで、反対にその手を握り込む。「座ってやりましょう」と、握り込んだ手を引いて、ドラゴンが倒したちょうど良い木の上に相手を腰掛けさせると。膝や腰等、負担のかかりやすい所をぺたぺたと確認しながら。そういえば、といった調子で首を傾げて見せて、 )
──……それにしても、あのヴァヴェルの動きはなんだったんでしょうか……異常行動で報告しといた方が良さそうですかね……
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