匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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※ストーリー上は全く重要ではないものの、魔法医学上の考察がある程度固まり、主人公ふたりに対する新解釈も得られたことから、先述のロルに記載した内容の修正も兼ねて共有させていただきます。
・人体の2大要素
ひとつの生命は,肉・骨・神経などからなる物理体こと「生体」と,魔素から成るエネルギー体こと「魔導回路」の2種類の要素から成り立つ.
→魔導回路は生体の上に重なっているが,通常の肉眼には見えない.ただし,魔法的素養があれば,通常のそれとは異なる形で“視認”することができる.
→魔導回路は生体に依存する.魔導回路が急激に弱ることで生体に支障をきたすケースもあるが,魔導回路の自然な弱体化は,生体に悪影響を及ぼさない場合が多い.一方,生体に何らかの弱体化が起こった場合,それが自然であろうと急激であろうと,必ず魔導回路にも影響を及ぼす.人間の生命はまず生体を礎として成り立ち,その更に上に乗っている魔導回路によって応用的な生命活動を行う,ということになる.
→人間の精神は,神経がある生体のほうに比重を置いて依拠している,とするのが一般的な見解である.無論,魔導回路が精神に影響を及ぼすことについての研究も数多く存在するが,今回は割愛する.
・魔導組織
→「魔導細胞」:魔導回路を構成するエネルギー体.生体でいう生体細胞.
→「魔髄」:魔素をつくりだす組織.生体でいう骨髄.
→「魔導脈」:体内に魔素を循環させる組織.生体でいう血管.
→「魔力弁」:体の各所を流動的に流れていて,魔素を吸収・排出する器官.生体でいう口腔.
→「魔経」:魔導細胞のうち,各組織に指令を送るものから成り立つ組織.生体で言う神経であり,実際に脳神経と密接に結びついている.
・恒常性,ホメオスタシス
体の内外で何か変化が生じても,体内環境を一定に保とうとする,人体に備わった性質及び働き.全てのストレス反応の基礎となる.
→「生体恒常性」:生体に関わる恒常性.「体温を維持するため,暑いと汗をかく/寒いと震える」などがある.
→「魔導恒常性」:魔力に関わる恒常性.「魔力量を維持するため,魔力の増減に合わせて魔力弁を開閉する」などがある.
・動的適応能,アロスタシス
体外環境の変化や急なストレスなどにより,恒常性の収束点(目標,定義)を現条件に即したものに変え,それに合わせて生体・魔導回路を変化させる,人体に備わった働き.短期,長期の別がある.また,ホメオスタシスとは違い,原因となる特殊条件がなくなれば消失し得る.
→「生体適応能」:生体に関わる動的適応能.「魔獣と遭遇し,心拍数が急上昇する(短期)」「砂漠に身を置かれた生体が,発汗の代わりに血管の拡大で放熱を行おうとする(短~長期)」「長距離走者の心臓が強化されて安静時の心拍数が半減する(長期)」などがある.
→「魔導適応能」:魔力に関わる動的適応能.「多くの魔力の出入のため,魔導回路が太くなる(短~長期)」「魔力弁が強くなる(長期)」などがある.
・動的適応能過負荷,アロスタティックロード
過剰なアロスタシスに曝され,それが閾値を超えた場合に,肉体・魔導回路がそのストレスに耐えられず,何らかの支障をきたすこと.
→「生体適応能過負荷」:生体に関わる過負荷.「過労により倒れる」「心的ストレスに追い詰められてうつ病をきたす」などがある.
→「魔導適応能過負荷」:魔力に関わる過負荷.「魔力の過剰放出により魔導回路が弱り,そのベースとなる生体にまでストレス症状が及ぶ(=魔力切れ)」などがある.
・可塑性
人体医学・魔法医学における「可塑性」とは,経験や学習により,ホメオスタシス・アロスタシスなどを出力する指令回路が変形し,その形状が保持されることを指す.この性質上,何らかの必要が生じた場合,可塑性→アロスタシス→ホメオスタシス,の順で影響を及ぼすことになる.
→「神経可塑性」:生体の神経(≒シナプス)を書き換えること.一般的な事例で言えば,「生活王の工夫や運動療法などにより,脳卒中患者の後遺症が緩和される」「指を動かす神経細胞が死んでも,リハビリを行うことにより,手首を動かす神経細胞がその機能をも果たすようになることで,指を動かせるようになる」などがある.また.房事にトラウマを持つビビがギデオン相手にそれを寛解させたのも,この神経可塑性によるもの.
→「魔導可塑性」:魔導回路の神経(=魔経)を書き換えること.身近な事例で言えば,「何度も練習することで魔法を行使できるようになる」などがある.また,魔力に乏しいギデオンがビビ相手に自身の魔導脈を適応させはじめたのも,この魔導可塑性によるもの.
・ギデオンの身に起きたこと
ビビの魔素の大量注入は、本来であれば、ギデオンの魔導恒常性の侵害となる。ただしギデオンの魔経は、これまでの学習から自身の魔導回路を書き換えることを選び、魔導適応能の発動を開始した。この際生じた負荷により、一時的に深い睡眠を余儀なくされた。今後、繰り返し魔導適応能を発動することにより、ギデオンの魔導回路の恒常性が変化していく(=負荷が軽減していく)可能性がある。つまりビビのみに限らず、ギデオンの体もまた、相手の影響で大きな変化を遂げている。
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