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匿名さん  2022-05-28 14:28:01 
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  • No.674 by ギデオン・ノース  2023-11-25 02:17:57 




(今年の春からヴィヴィアンの愛読書となっている鈍器……こと、『人体における魔素の機能と魔学註解』、その第2編1章曰く。
人体には“恒常性”、ホメオスタシスという性質が宿っている。“肉体はいつも一定の状態にあるべき”という、一種の思想にも似たもので、おそらくは安定した生命活動を至上としているかららしい。体の内外に何かしらの変化が生じると、このホメオスタシスが顔を出し、体を“いつもどおり”に戻そうと、様々な反応を引き起こす。このメカニズムのことを、“恒常性の維持機能”……動的適応能……アロスタシスと呼称する。
アロスタシスには様々なものがある。身近な例でいえば、“暑くて汗をかく”、“寒くて震える”などがそうだ。これらの場合は体温調節が目的だから、“生体恒常性”由来のアロスタシスとなる。……そう、素人にはどうにもややこしいのだが、一口にアロスタシスといっても、医学的便宜上、2種類の別があるらしい。では、“生体恒常性”由来でないほうは何なのかといえば、“魔径恒常性”由来なのだそうだ。魔径というのは医学用語で、魔素が体内を循環する回路のことを指す。つまり、人間が宿す魔素──すなわち魔力にも、恒常性の法則が当てはまることになる。
──昨晩のギデオンは、ヴィヴィアンとの交歓により、体内の魔素が急激に上昇した。ヴィヴィアンが最後に流し込んだ魔素は、そのほとんどが本人の方に戻っていったとはいえ、残滓の量ですら莫大になったからだ。ギデオンは魔力の保有量が生来そう高くはないから、これは体にとって異常事態といえるだろう。ならば必然、強烈なアロスタシスの発動、反動じみた押し戻しを招くことになる……はず、だったのだが。)

………………

(──恒常性、ホメオスタシスには、実は面白い例外……というより、応用の現象がある。肉体の状態を一定に保つ、それを至上とする性質であるはずが、その個体の置かれている環境や活動量次第で、“恒常”の定義が、普通のそれからズレていくことがあるのだ。
生体恒常性の例で言えば、大昔にいた飛脚たちの特異な体がそれだろう。日々長距離を駆けることを生業とする彼らは、普通の人間に比べて心の臓が強くなる。すると、一度に送り出す血液の量が多くなるので、安静にしているときの心拍数がぐんと下がり、常人の半分ほどに落ちるそうだ。血液の総循環量では何も変わっていないだろうが、心拍数という点に着目すれば、これは明らかな“恒常性の変化”であるには違いない。
生活次第で体は変わる。特殊な要因に長く馴染んでいればいるほど、体の方が順応し、“いつもどおり”を書き換える。それと同じ現象が、実はギデオンにも、たった今起こり始めていた。
この1年、何度も何度も馴染んできた、ヴィヴィアンの魔素。数えきれないほど窮地を救ってくれたのを、もはや肉体の方が強く覚え込んだ魔素。その名残が、体中のあちこちにたっぷりと残留し、ギデオン自身の宿す魔素に抱きついて離れない。まるで宿主のヴィヴィアン自身が、普段ギデオンにそうするのとそっくりに。
──ギデオンの体に備わっている魔径恒常性は、それを異常事態であると判定しなかった。寧ろ好ましく感じてすらいるようで、“何だ何だ?”“あ、コレいつものあの娘のじゃん”“じゃあ取り込め取り込め”といった具合に、体内の魔素が覚醒時よりも活発になる始末である。となると当然、その奇妙で不慣れな現象に、肉体が疲弊するのだが。それを認識した脳の方が、とんでもない指令を各所に送り込みはじめた。すなわち、“この魔素何回も貰ってきたけど、なんか今回すげえ爆弾供給来たし、これもうこの先も安定して得られるんじゃね”“じゃあこっちのほうが先方に合わせて変わればトータル得よな、各々よろしく”“いいじゃんいいじゃんやったれやったれ”と。ヴィヴィアンの魔素が次にまた大量補給されれば、もっと上手く取り込めるようにと。──ギデオン自身の体のほうを、作り変えることにしたようだ。)



…………ん……

(──まるで泥のように昏々と眠り込んでいた、その果てに。体の方が、“今日のところはまあここまでにしておくか”と、ギデオン本人も与り知らぬ突貫工事を、一度引き上げたからだろう。すぐそばで起きた身じろぎの気配を感じ取れるようになり、ギデオンはそこでようやく、ごく自然に目を覚ました。
……何故かすぐ目の前に、ヴィヴィアンの顔がある。なんだか随分真剣な顔でこちらを見ているな、と知覚することはできたのだが、こちらを心配しているのだと理解するには、ギデオンの頭はまだ酷く寝惚けていて。……なんだ、珍しいな。おまえのほうが、先に起きているなんて……そんなようなことを、呟くまでも至らずにぼんやり考えていたところ。
恋人はさらに身を寄せてきて、ギデオンの顔周りをあちこちぺたぺた触り始めた。最初はただされるがままだったギデオンも、やや困惑しながら「……いや……」「特には……」と返すうちに、視界を占める肌色の多さがやけに多くておかしいことを、少しずつ認識しはじめる。その表情がだんだんと、いつもの──お約束の真顔の──それに戻りだし、やがてはぴたりと、それは見事な硬直と共に完全な理解へ至る。すっかり覚醒したギデオンの視界、愛しい恋人はその瑞々しい肢体を惜しげもなくさらけだしてギデオンに跨り。あろうことか、ギデオンの目の前に魅惑の果実を並べているのだ。何ならそれは、いやに真剣に診断している本人が無自覚なせいで、ギデオンの胸板の上でごく柔く撓んでいるし、彼女が身じろぎするたびにむにむにと弾力を伝えてくる始末だ。そこから無理やり意識を逸らそうと、他の何かに感覚を向けた瞬間……びきり、と眉間の皴が深まった。ギデオンにその自覚はないものの、一晩で何やらいろいろあったらしい体は、主人がぐっすり眠りこけていた間に、例の大事な薬の効果をすっかりどこかへ追いやってしまったらしい。まあ、別にこんな状況でなくとも、生理現象として朝はある程度このようになるのだが……なんかもう、これはもう、いろいろと駄目だろう。思わず苦し気な呻き声を喉から絞り出し、その表情もそれにたがわない色となれば、相手をぎょっとさせてしまうには違いないだろうが。目を閉じながら、安心させるために抱きしめるべく、相手の背中に腕を回しかけ──がちりと空中で制止させれば。その大変珍妙な、中途半端な状態を数秒晒したかと思うと、両腕を力なく下ろしてしまいながら、目覚めたてだというのに疲れた声で自己申告を。)

気持ち悪くはないが……誰かさんのせいで……おかげで……“具合が悪く”は、なってるな。



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