匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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──……ッ、~~ッ、、
(愛情、情欲、好奇心。それらを込めて魔力弁を舐り、耳元に低く囁いてみれば、ヴィヴィアンの反応のどこまでも期待以上なこと。しかし彼女を抱くギデオンは、その甘美な悲鳴を愉しむばかりでもいられなかった。触れ合う素肌全体からぶわりと押し寄せる、温かな快感の波……ただそれだけなら、まだ恍惚とするだけだったが。がっちり絡めた大小の掌、その内側の魔力弁で、理性を飛ばしたヴィヴィアンが、その豊潤なマナをどくどくと、断続的に……数瞬ではあれど……力強く流し込んできたのだ。瞬間、意識がぶっ飛んだ。息すらもできなかった。それまでは、大の男である自分が、自分より若く小柄な娘を、好き勝手に翻弄していた筈なのに。混乱に駆られる意識すらも保てず、ただただ忘我の境地へ追いやられ。全身を甘く激しく駆け巡る感覚に、いとも容易く己を塗り潰されてしまう。
……やがて、数秒後か、数十秒後か。あまりにも活きが良く、それでいてお利口な魔素が、ヴィヴィアン本人の躰の中へ、来た時と同じように素早く戻っていったころ。ギデオンはようやく、堪えていた息を「ッは、」と吐きだし、そこから必死に、荒い呼吸を整えた。今は夏だというのに、肺腑に取り込む空気がひんやりとして感じられる。頭に酸素が行きわたれば、ようやく多少の思考力も戻ってくる。……が、今さっきはあまりに意識を飛ばし過ぎて、正直何も覚えていないに等しい。せいぜいが、何か凄いことが起きていた気がする、くらいのものだ。遅れてやって来た、事後のそれに近い倦怠感に、ただぼんやりとしていると。己の声を呼ぶ声が耳に届き、気怠げに頭を動かしてそちらを見下ろす。小さな栗毛の頭が、ぴとりと己にくっついていた。どうやら彼女も彼女で、感覚の最果てから現世に戻ってきたところらしい。自分と違い、まだ新鮮な混乱をきたしたままでいる様子が、どうにもいじらしく。ふ、と脱力した笑みを漏らすと、何時間もきつく絡めていた手を緩くほどく。先刻まで淫靡な戯れに浸していた筈のそれだが、流石にこちらも疲れたのだろう、魔力弁が静かに口を閉ざしたのが何となく感じられた。そうして、夜気の爽やかさを掌中に感じながら手をもっていき、相手の頭をゆったりと撫でて。)
…………、気持ち……よかったな。
(さてはて、これはどうしたことか。ヴィヴィアンを愛でたり虐めたりするときは、あんなに饒舌になっていた男が、その一言しか絞り出せない有り様だ。別にそういうわけでなくとも、今宵何度も“経験”を積んだ彼女に、喉を痛めてないかとか、具合は平気かとか、真面目にかけてやりたい言葉が、あれこれ思い浮かびはするのだが。しかしいかんせん、この倦怠感が不思議と心地よくて……最低限以上の声が出せそうになかった。それでも、初めてのことだらけで不安だろう彼女を、少しでも安心させようと。相手をごく軽く、衣擦れの音も立ちやしないほど弱く抱きしめ、その旋毛に唇を寄せて。「俺もよかったよ」「頑張ったな」と、ゆっくりと相手に囁く。──しかし、今晩のギデオンは殆ど身体を動かしちゃいないのに、どうにも疲労が強いのか、強い眠気を隠せておらず。実際、相手にその辺りを訊ねられれば、情けないが素直にそうと認めただろう。それでも最後の理性で、いつの間にかベッドの端に押しやっていたデュベを引っ張り上げると、自分とヴィヴィアン、特に相手の方にしっかりと、風邪をひかぬようにかけ。相手の頭にすり、と高い鼻梁を寄せると、心地よさそうに瞼を下ろし。)
明日は……朝の鍛錬は……オフ日だから……
朝まで……ふたりで……ゆっくり……寝よう……
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