匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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(ギデオンを見つめ返す翠玉の瞳は、もう先ほどのように不安げに滲んでなどいなかった。代わりに今宿るのは、凛々たる強い光。それにふさわしい勇ましい冗句さえ緩んだ顔で返されれば、こちらもふっと微笑んで。──無言で前を向いたのが、ふたり同時。次いで、相手が鮮やかに捌いた杖から、凄まじい爆炎が薙ぐように放たれる。派手に巻き上がる熱砂、夜空をつんざくレイケルの悲鳴。それがこの禍々しい孤島での、最後の戦いの幕開けとなって。足を引きずっていたジェフリー・カーンは、支援職ながら腕の立つ相手を信頼して任せ、己は水魔法と風魔法を混ぜ合わせた冷風の鎧を纏い、灼熱の煙幕へと一直線に突っ込んでいく。「あああ……!」と顔を抑えながらのたうち回っていた警官服の男、その四肢に、自由を奪うべく魔剣を強振。しかしぎょろりと目を剥いたレイケルは、すんでのところで飛び退った。「この、忌々しい害虫どもが……!」と余裕のない声で罵りながら立ち上がる悪党、彼の整った顔の右半分は今やべろりと剥がれ落ち、赤黒く生々しい肉が、奴の本性そのもののようにおどろおどろしく露出している。醜い怪物になり果てた男がこちらに杖を構えれば、その切っ先より、闇の魔素からなる暗黒の刃が夜気を震わせて長く伸びた。二度同じ手を食らうものか、とギデオンも激しく睨みつけ、互いに間合いをはかりながら対峙すること数秒。次の瞬間飛び出して、火花と闇の魔素を散らす猛烈な剣戟を一閃、二閃、三閃。互いの執念を燃やし、吼えながら斬りつける。やがて力量の差に気づいたのか、自棄を起こしたらしいレイケルが、「貴様らだけは──絶対に──二度と大陸には戻さん!」そう言い放ち、背を向けてまで浜の小舟に魔法を撃ち込もうとしたのと、ギデオンが「それ」に気づいてはっと身を屈めたのが、ほとんど同時。月光を遮るほどの巨影がふたつ、ぶんと夜気を切って伸びた。エウボイア号の太い触手は、レイケルの胴体を横ざまにがっちりと捕らえ。ギデオンの背後の森から飛び出したファーヴニルの毒牙は、奴の頭をいともたやすく噛み砕いて。欲望に狂った悪漢の、あまりに無残で皮肉な最期。その全容が、不意の閃光弾によって明々と照らしだされたために、ギデオンの目にしかと焼き付けられることとなり。)
……っ、ヴィヴィアン!
(しかし、目を瞠っていたのも数秒。閃光弾の出どころを思ってはっと我に返れば、相手が向かったはずの地点へ大股で駆けていく。はたしてそこには、大の字になって気絶しているジェフリー・カーンと、顔の下半分を真っ赤に濡らしながらも両足で立つヴィヴィアンの姿が。どうやら奴との戦いには無事に勝った様子、しかしなんだか様子がおかしい、遠目ですら酷く危うげにふらついて見えるのは気のせいか。砂を蹴ってさらに駆け寄り、真正面から薄い両肩を掴むと、汚れてしまった顔を覗き込みながら「大丈夫か!」と声をかけて。)
(/シリアス面でもコメディ面でもビビのヒロイン力が相変わらず突き抜けててもう最高の回でした……(深夜の挨拶)
そう言っていただけて安堵の思いがひとしおです。せっかくの最後の山場だから、と今回もノリノリで戦闘シーンを堪能させていただきましたが、サスペンスもラブコメも冒険要素もたっぷりのグランポート編を主様と追いかけられたこと、心から楽しくてたまりませんでした。主様のアイディアや魅力的な描写、何よりこの素晴らしい怪談エンドがあってこそですので、こちらこそ本当にありがとうございました……!
負傷描写については、今までの描写で全く問題ございません。むしろ、負傷しがちな戦士とそれを回復するヒーラーらしい描写を本格的に盛り込むことができ、こちらも心行くまで堪能しておりました。
今回の怪我の回復度合いについてですが、是非是非ご提案が。「レイケルの闇魔法はかなり特殊であり、本来ならば不治であるどころか、その場しのぎの治療を施すことすら不可能なはずだった」「しかし、ビビの治療魔法はギデオンの体質に奇跡的に噛み合うらしく(※魔法医療では稀にあること)、本来できないはずの一時治療がきちんと果たせている」「今後も定期的にビビに治療してもらい、残存性・復活性のある闇の魔素を、確実に完全に克服するように」……という診断が、カレトヴルッフへの帰還後、ギルド専属の専門医から命令として下される、というのは如何でしょうか?いつぞや募集板で記載した「戦士とヒーラーの契約要素」を、長期治療という形で是非持ち込みたいなと……!
ジェフリーの件も同じ思いだったようで、嬉しいやらほっとするやらでした。過去についても今度についても、是非その方向でお願いいたします。素晴らしいご対応をありがとうございました!
最後に次の展開についてですが、もちろん大賛成です。2件目のクエストにしてしっかりがっつり楽しんだ分、次はほどほどにゆるい仕事で息抜きしつつ、ギデオンとビビの水入らずの交流を楽しめればと思います。お祭りの警備は初日から数日間を担当し、シフト上最終日の夜は仕事から外れてフリーになる……ということであれば、ふたりでゆっくり花火を観られそうですね。その際ギデオン側で、実は古馴染みたちからも花火を見ながら飲もうと誘われていたものの、賭けの件があるので(という言い訳で)断る……という背景を盛り込むことにより、ギデオンの生活の中に「ヴィヴィアンのために」「ヴィヴィアンといる方を」、という選択肢が少しずつ入り込んでいくきっかけにしようかな、とも考えています。)
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