匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
通報 |
ギ……ギデオンさんが聞くから、答えたのにぃ……!
( 恋人の意地悪な物言いに、握った拳を振り上げて、ひんひんと真っ赤な顔で抗議していたヴィヴィアンだったが。その当の本人から宥めるように唇を落とされて、気持ちよさそうに目を細めると、紳士的な捕食者の腕の中、ぽやりと幸せそうに微笑んで。
──……ビビの所属していた魔導学院は、その研究部こそ学術的な権威だが。高等部以下の、特に中等部までの学び舎は、幼少期から学院へ通えるような、良家の子女のための社会教育に近い傾向がある。故に──ビビの恩師は、「知識も身を守る術だというのに」と嘆いていたが──少なくともビビの在学時代の女子生徒には、所謂"堕落に繋がる情報"とは切り離された、"良き妻、良き母"になるための教育が施されていた経緯がある。とはいえ、この奔放なトランフォードで、知的好奇心あふれる若く優秀な生徒たちは、それぞれ自由に大人への切符を勝ち取っていくわけだが。根が素直で真面目なビビの心に、貞淑であれという呪いは強く刻み込まれて、それが17の夏、最悪な形で決定打を押しことになる。
そうして、ギデオンの直截な言い回しに、再度カチンと固まったヴィヴィアンだったが。頭脳派であるギデオンの、内容に似合わぬ理論的な言い回しは、皮肉にも学生だった彼女には素直に受け入れやすいもので。これまではしたない、だらしないと恥じてきた行為や現象が、医療人として真面目な知識に繋がると。ビビの中で忌避されて、意識的に興味を向けないようにしていた質問が次々湧いて溢れ出る。時折、"好きな人"だとか、"赤ん坊"だとか、普段ギデオンの声では聞きなれぬ優しい単語に、どぎまぎとしながらも。真面目なものから、馬鹿らしい流言飛語の類まで、ひとつひとつ丁寧に説明してくれるギデオンに心を許しきり、その健全なんだかどうか分からぬ講義を終えれば。──そうか、あれもこれも、全ては動物として、子をうみ育てるため身体の自然な反応で。それなら、私の身体もいつか、絶対にギデオンさんを受け入れる準備を終わらせてくれるんだ。そう思えた途端、温かく神聖な気持ちで満たされる。そうして、食卓に魔法をかけるギデオンの脇で、何気なく己の腹を見下ろしたまま、続けられた質問にこくりと小さく頷けば。跨っていた腰を上げながら、その柔らかい下腹部を愛しげに撫でて、 )
………はい、お願いします。
あの、もし──ギデオンさんは、赤ちゃんが出来たら、嬉しいですか……?
トピック検索 |