匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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えー?なんのことか分からないデスー…………、っ!?
( やけに素直に引き下がったギデオンに、ビビもまたエプロンを外しながら、好奇心溢れる笑顔でお土産を確かめようとしたその瞬間。──ドスッ、と。情け容赦一切なく、手を洗う相棒の背中へ飛びついた娘の鋭さといったら、先日対峙した親……とまではいかずとも、子トロイトくらいの勢いはあったかもしれない。なんで、どうしてこれがここに……と。じわじわ追いついてくる理解に、こんな高価なものを……、という多大な遠慮だけではなく、どうしようもない歓喜が湧き上がってくるのもまた事実で。 )
──……足りないだなんて。これじゃ、毎晩作りに来ても間に合わないですよ……
( ──……そうだ、「いっしょに、くらします……?」と。当時はこんな、私利私欲に溢れた提案はしていなかったはずだ。そんな正しく"寝言"が、むにゃむにゃと朝の空気に溶け込んだ、あれからおおよそ半年後──キングストンサリーチェ区、ラメット通り8番地。
ギデオンとビビが共に暮らし始めた、心地よい我が家のその二人の寝室に、──カラン、カラン……と響くのは、キングストン市民に朝を告げる鐘の音だ。天気は夏の始まりを告げるような鮮やかな快晴。眩しい朝日をたっぷり取り込む大きな窓辺からは、清々しい朝の空気が吹きこんで。普段からビビと仲の良いカラドリウスが、可愛らしく朝の訪れを歌っている。
そんな気持ちの良い朝の一幕に、それはもう全くもって不似合いな、険しい表情をしているヴィヴィアンはといえば。ベッドの上で、それまで自由に伸ばしきっていた四肢を億劫そうに丸めて、先日夏用に変えたばかりのブランケットを緩慢な動きで頭から被ったかと思うと、そのままぴくりとも動かなくなる。そうして、周囲が呼吸が辛くはないのだろうかと不安になる出で立ちのまま、再度すやすやと健やかな寝息を立て始めるだろう。 )
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