匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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ですから…………いえ、そしたらヤドリギの蔓を1mほど、あったらで大丈夫ですから。お仕事、頑張ってくださいね。
( ですから、そんなこと気にしなくっていいんです。それよりご無理はなさらないでくださいね──と、心の中を洗いざらい吐き出せたらどれだけ良いだろう。物分りの良い振りをした口振りとは裏腹に、愚直なまでの心配を隠しきれない表情で、ずしりと重みのある鍵束を受け取れば。当の本人が、報酬を支払わない方が気がかりだと云うのだから仕方ない。渋々と口にした薬草は、先の仕事中、渓谷の木々にこれでもかと巻きついていた、この後も調査に戻るならば、難なく手に入るだろうそれを。──よく使うもの、と言われただけで、入手難易度は指定されていないのだから、これくらいの忖度は許されるだろう。
そうして、託された信頼を大切そうにしまい込んだ別れ際、相手が記憶を失っているなど露知らず。すっかり見慣れた頼もしい色を取り戻してしまった頬に手を伸ばすと。ちょうど迎えに出てきてくれた村民に促され、重厚な木の扉をくぐるその寸前。未だ相棒が此方を見送っているだろうことを疑わない様でくるりと後ろを振り返れば、先程ギデオンに伸ばした掌にそっと口付けを落として。その溢れんばかりの愛情を、満面の笑みで最愛の人へと放り投げる。
──はたして数日後か、数週間後か。その半年以上懲りない深い愛情は、件の爪痕の件を処理して、やっと帰りついた男の疲弊を。明るく暖かな部屋の光景と、一応は自宅から持ち込んだ鍋に入った、地味豊かなクラムチャウダーの香り、そして少し悪戯っぽい小さな笑い声となって取り巻くだろう。 )
──おかえりなさい、お疲れ様でした!
…………お夕飯、自分のを作りすぎちゃった分は仕方ないですよね?
コマッタナー、腐る前に食べてくださる方がいたら嬉しいんですけど。
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