匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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……起こしちゃってごめんなさい。
( 実を言うとここ最近の、ギデオンの少しよそよそしい態度に不安を覚えなかったと言うと嘘になる。あの聖なる夜に与えられた温もりと約束は、夢だったのではないかと思うほど。隙間風が吹き込む距離感に、強請っても少し早く離れていく手──やっぱり醜い嫉妬心なぞ見せなければ良かった、とは決して思いたくないが……。ギデオンが浮かべた笑顔に、深い安堵を覚えたのは此方もまた同じ。眠そうな掠れ声に、此方も囁くような声で謝罪して、少しかさついた頬を少し撫でてからそっと手を離すと。代わりに──ぽす、と筋肉のついた肩に頭を預けて、ギデオンが視線を向ける宴を、ビビもまた夢を見るような眼差しでうっとりと眺める。
そうして、相手から発されたお馴染みの意地悪に、普段だったら憤慨したか。若しくは、それを逆手にとって──隠れ蓑じゃなくて、私がギデオンさんといたいからいたのだと、真正面から迫ったかもしれない。しかし、不安に弱った心にはそんな狡い提案さえも魅力的で。「うん、隠してください」と、肩が触れ合っている方の手をとり、戯れにその筋を弄んだり、両手でぎゅっと包み込むも。すぐ様そんな己が恥ずかしくなって、態とらしく声を上げると、もしそのまま促されれば、昼間カーティスから聞いた顛末を詳細に語るだろう。 )
──……あ、そうだ!
ギデオンさん、カーティスから聞いたんですけど……
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