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匿名さん  2022-05-28 14:28:01 
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  • No.596 by ギデオン・ノース  2023-09-27 15:34:11 




(ほぼ全員が成人という構成、おまけにこの遠征はあくまで仕事。にもかかわらず、陽気大国トランフォードの冒険者たちの様子ときたら、楽しい遠足に浮かれ騒ぐ五歳の子どもとそう変わりない。馬車の上座──仕切り板による背もたれもどきと、煎餅のようなクッションが一応誂えられた席──に、同格の戦士と共におさまっているギデオンは、最初こそごくゆったりと、談笑などしていたのだが。背後の席がやいやいと賑わいだせば、仕切り板に片腕をもたれる形で振り返り。──こらおまえ、ここで飲み物を出すんじゃない、どうせ零すのがおちだろうが……云々。おいそこ、なんで臭いの強い軽食なんか持ってきた? 周りのことを考えろ、だいたい戦士は身体が資本なんだから、朝飯はちゃんと食ってこい……かんぬん。こんな調子で、呆れた声音でのお小言を投げかけつづける有り様で。
しかしそもそもの発端は、その当のギデオンが、ギルド随一のマドンナを急遽引っ張り込んだことだ。注意された青年たちも、一応ちゃんと返事するものの、その締まりのない顔をヴィヴィアンに戻しては、また嬉しそうにあれこれ構い始める始末。隣にいるカーティスが、時折彼女に助け舟を出してくれるから良いものの、あれでは逆に、意中の相手を困らせるだけだろうに……。ヴィヴィアンにちらっと、(道中は我慢してくれ)、というような視線を送っておくと、やれやれ顔でまた前方に向き直る。そうして、「あいつら元気だな……」と、気怠げな声でぼやけば。隣の上級戦士、魔槌使いのヨルゴスもまた、「若いからねえ……」と、苦笑いせずにいられないようだった。)

(ベテランたちのそんな雰囲気も、いよいよ馬車が麓に着けば、がらりと反転することになる。すなわち、先ほどまでは柔和な顔でにこにこ見守っていたヨルゴスのほうが、急にその顔を厳めしく変え。「へらへらするなジャリども! ここはもう現場だ!!」「しゃんとケツの穴締めあげろ!!!」などと、至極乱暴に発破をかけ。それにびっくりした若者たちを、道中はあんなに小うるさかったギデオンが、穏やかな声でフォローしながらとりまとめる、という具合である。──現場入りしている間だけ性格が豹変する、というのは、熟練冒険者によくいるタイプで、ヨルゴスもまさにそうだ。しかし今回は、思慮深い彼とよくよく示し合わせたうえで、それぞれが飴と鞭を担うことになっていた。ヨルゴスの場合、危機感のない若手を教育するためにやるからいいが、中には自覚も自制もないまま、必要以上に若手をしごいて虐め抜くベテランもいる。そんな人間に出くわしても潰されないために、今ここで慣らしておこう、というわけだ。
しかし、本質的には茶番といえど、演じるヨルゴスが凄まじく本気なだけあって、若手たちはそのほとんどがすっかり震え上がったらしい。青年連中のそれぞれに必要な雑務を与えれば、カーティスのような場慣れした戦士以外、皆ヨルゴスから逃げるようにして散り散りになった。ヒーラーには村の竈を借りて燻し玉を作ってもらうのだが、アリアに至っては、元々緊張していただけに、ヨルゴスにひと睨みされただけで倒れそうなほどである。相棒がそれについて、少しでも問いかけるような視線を寄越してくれば、ギデオンもまたまなざしで返すだろう。──この一見パワハラじみた状況は、敢えて意図しているもので。昨夜相棒に依頼した話は、本格的な討伐が始まってからになるだろう、と。)

(──はてさて、今回のクエストは、目下計画通りに進行している。午前中に村に着いたら、皆で昼食を取りながら、村長や斡旋官への聞き込みを。今度はその手がかりを元に、実際に自分たちでも山野を駆け巡りながら、更に情報を掻き集める。この情報というのは、辺りの魔獣の足跡であったり、下生えが踏み荒らされた形跡だったり、低木の枝が折れた跡だったり、生物由来の魔素が吹き溜まりになっている場所だったりする。パーティーリーダーによって行動指針は大きく違うが、少なくともギデオンのパーティーは、入念な下準備を施してからの、着実な詰将棋を理想としていて、まずはこういった現場情報を掻き集めるのが大前提だ。慣れないうちはなかなか見落としがちでもあるので、今回のような実際の現場を通じて、適宜指導も挟んでいく。
そうこうするうちに、問題の魔猪・トロイトは、おそらく今この辺りに潜伏しているだろうというのが、おおよその精度で絞られてくる。すると今度は、熟練の罠師たちが、専門の魔導具を使ってあちこちに潜り罠をしかけ、殺意の高い結界を作る。罠にかかってくれるなら上々……警戒して避けるだけの知能があるにしろ、今度はそれを逆手にとって、こちらの思わしい場所に誘導してしまえばいい。日の高いうちに見繕った幾つかの谷や窪地を、追い込み場所の候補とした。こういった場所にもまた、適宜罠を植え込んでもらう。精度の高い仕事というのはしっかり時間がかかるもので、これを監督するうちに、あっという間に日が暮れる。
魔獣トロイトも馬鹿ではない。この日、大勢の嗅ぎ慣れぬ人間が山に立ち入り、あれこれ不穏に動き回っていたのを、きちんと察知しているだろう。だからといって、じっと息を潜めてやり過ごす長期戦に持ち込まれぬよう、今回は余分な馬車を駆り出し、ギルドのカヴァス犬も連れてきていた。この魔犬は、テイマーにのみ見える魔法の足跡を残す能力があり、先んじて獲物を追い立ててくれる優秀な狩人だ。明日の朝、この猟犬たちを各ポイントで解き放ち、トロイトども焚きつけさせる。そうして、罠の囲いの中で逃げ惑わせ、疲弊させながら、指定の場所におびきだし、そこで一斉に屠りにかかる。計画通りにいくならば、そういう手筈になっている。明日一日、多少伸びても明後日までに、しっかり片が付くだろう。)

(──さて。入念な準備、しっかりした休息をとったのち、翌朝。朝日が山の稜線を燃え上がらせはじめた頃には、カレトヴルッフの冒険者たちも、皆しっかりと武装した姿で、広場にがやがや集まり始めていた。その中にあって、ギデオンも。軽い皮鎧ではない、重量のある魔獣と対峙するときのためのいかつい金属鎧を身に纏い、あちこちの手配の最終確認を終えたところ。あとは全員が揃ってから、隊の割り振りをして出発だな……と、考えていたその時。ふと、テイマーたちの仕方なさそうに笑う声を耳にして、そちらを振り返ってみれば。わふわふと、やたら懐っこい吠え声を上げながら、カヴァス犬たちが尻尾を振りたくっている先。ヒーラー衣装を纏った相手が来ていることに気がつくなり、ごく当たり前のように、そちらへと歩んでいって。)

──おはよう。
昨日はあいつらが、夕飯時にもおまえに絡んでいたみたいだが……どうだ、ちゃんと休めたか?



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