匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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そいつだ──今のヘルハルトの方は、十中八九ファビアンの子孫なんだろう。
(普段ならば、相手の率直な人物評に口の端のひとつでも歪めるところ。だが、かれこれ数時間も缶詰になって調べた末の重大発見ともなれば、真摯な低い声で推測を述べるにとどまり。古文書の束を持ったまま、相手と顔を見合わせて事の真相に触れていく。──まず、刑吏ファビアンが流刑地の魔物ファーヴニルを発見し、その黄金をもって黎明期のグランポートを栄えさせた。それはいつしか、何らかの経緯で失われ、ファーヴニルの存在もただの伝承民話に成り下がってしまった。しかし現代になった今、おそらくは一族に伝わるファビアンの記録によって、ファーヴニル伝説がただのお伽話ではないと勘づいたヘルハルトがグランポートにやってきたのだ……先祖が発見した巨万の富をもたらす魔物を、先祖と違い独占的するために。その魔物は、人間の身に人に戻るべく他者の魂を欲している。行方不明者たちはきっと、黄金を与える代償として、ファーヴニルの生贄になるべく連れ去られてしまったのだろう。だから若くなくとも、どんな人間でもよかったのだ。数年前から前歴持ちの冒険者たちで塗り替えられてきたトリアイナは、ヘルハルトのために人攫いを実行している実働部隊に違いない。そう考えれば、ヘルハルトとトリアイナの双方が不明な資金で潤っていることの説明もつく。──たった一握りの人間が分不相応に富むために、無辜の民の命が次々奪われている事件。当然早急に解決しなければならない、だがどうやって切り込んでいくべきか、そう迷いかけたところで、今度は相手の調査の成果物が大きな進展をもたらしてくれた。偉大な魔法使いを父に持ち、自身も高い魔法力によってヒーラーを務めるヴィヴィアンは、マナの流れに敏感だ。若くも確かな勘を頼りに徹底的に調べたところ、グランポートからやや離れた沖にて、不自然な潮流がある場所を発見したらしい。そしてさらに、水属性からなる高度な魔法、蜃気楼魔法についての文献も発見していた。おそらくはファーヴニルを数百年隠し続けてきた魔法、だがこれは、もしかすれば──。暫しの黙考の後、思いついたのは大胆な案である。よそ者の自分たちふたりだけで解決にあたろうとすれば、地元警察と地元ギルドによる反発・封殺は免れず、事件を闇に葬り去られてしまう危険がああるだろう。だが、例えば地元のマスコミを同行させ、その目で現場を確かめさせるならどうだ。それには当然、相手にそうと気づかれずに尾行する必要がある。島の正確な場所を確かめるためにも、奴らが明日の夜か明後日に出すであろう小舟についていくことができたら。──こちらも、隠密に船を走らせることができれば。レイケル、トリアイナ、魔物ファーヴニル。すべての悪を一気に叩き伏せることができるかもしれないと、相手の鮮緑色の瞳を、いつになく熱のこもった真剣な目で見据え。)
ヴィヴィアン。あと24時間で、小舟ひとつを数時間隠せる程度の蜃気楼魔法を会得してほしいと言ったら……やって、くれるか。
(/いつもお世話になっております、じっくりと調査パートに取り組ませていただきありがとうございました!どうしても設定・推理描写に偏りがちになってしまい、少々ダレてしまっていないだろうか、返しにくい思いをさせてしまっていないだろうか……と懸念しておりますが、大丈夫でしたでしょうか。展開の運びなどに改善点がございましたら、長くお付き合いしたいので是非遠慮なくご相談ください……!
また今後、いよいよ実際的な救出・戦闘に奔走する解決パートに入っていくのが良いかなと考えております。この先、幽霊船エウボイア号によるオオトリ展開が待ち構えていますので、取り急ぎビビたちも島に向かう展開もご用意させていただきました。その先において、展開の順やイメージの方向性など、主様の方で何かアイディアはございますでしょうか?こういう美味しい思いがしたい、ギデオンとビビの絡みでこんなものを混ぜ込みたい!など、主様の心躍る要素をご共有いただければ幸いです……!)
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