匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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──……やだもう、ギデオンさんったら!
( ──もしかして、口に合わなかっただろうか。そう思わず此方が心配になる程、やけに神妙な顔でスープを味わっていたかと思えば、一体全体この相棒は何を言い出したのか。普段あれだけ冷静沈着なギデオンの表情に、くすくすと震え出した吐息が、次第に我慢できなくなって、とうとう明るい笑い声となってあははははっと高い天井にこだまする。別に特別な材料や工程など何一つ存在しない。チョリソーは下の肉屋で安くなっていたセール品だし、勿論最初から最後までこの部屋の暖炉で準備したもの。塩に至っては、先月ギルドで備蓄品の入れ替えで配っていたソレだ。それでも──そっか、そんなに美味しかったんだ、と。笑いすぎで滲む涙を拭きながら、はーっと深く息を漏らして。真剣な表情で問いかけてきた相棒に、その材料らの入手経路をあくまで誠実にネタバラシをすれば、ここまで反応されて嬉しくない作り手がいるものか。潤んでキラキラと輝く瞳をギデオンに向け、「笑っちゃってごめんなさい、ギデオンさんがあまりに可愛くて……褒めて貰えて嬉しいです、あの鍋全部ギデオンさんの分ですから、いっぱい食べてくださいね」と、目が覚めるほど格好よくて、その上 可愛らしい相棒をうっとりと眺めれば、 )
……あのね、世界で一番大好きな人に食べてもらえるから、たっっっぷり込めた愛情のおかげかも。
( なんて、ありがちな台詞を吐いた癖をして。すぐさまその案外現実的な思考で、キャベツのこの切り方が拘りなんだとか、隠し味を入れるタイミングはだとか、真剣な表情でレシピを語ったり、一緒に食べた食器を洗ったりしていれば。楽しい時間は夢のように過ぎ去って、そろそろお暇するべき時間がやってくるだろう。 )
嘘、もうこんな時間……!?
ごめんなさいこんな遅くまで……それじゃあ、ギデオンさんはしっかり休んでくださいね、
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