匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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ん? だって遠征後にお料理するの大変でしょう?
( ──ギデオンが何を言いたいのか分からない、とばかりに、小突かれた額を抑えたビビが小首を傾げる。嘘、本当は分かっていて、この図々しい彼女面が許される距離感が心地好くて、何処までなら許されるのか計っている卑怯な自分がいる。どうやら人の好意に慣れていない相手は、あからさまに好意を剥き出しにした行為を断る術は持ち合わせていないようで。しかし、感謝を感じさせる声とは裏腹に、いつまでたっても肝心のスープに手をつけようとしない意図はよく分からず、まずは自分から一口。──変なものは入っていませんよ、とでもいうふうに、たっぷり野菜が溶け込んで、もったりとした食感のそれをじっくりと堪能する。うん、我ながら中々良い出来だ。ハーブの爽やかな香りに、口当たりの良いじゃがいもの存在感、柔らかく、しかしシャキシャキとした食感の残るキャベツと玉ねぎは煮込み時間への拘りを感じさせ。胃袋に優しい淡い味付けは、ともすればぼんやりとした味になってしまいがちだが、一口大より少し小さくカットされたチョリソーが、野菜の邪魔をしない程度にスープ全体の味をピリッと締めている。赤ら顔の店主のすすめで買い求めた、素朴ながら複雑に、味の下支えをする香草達の存在は、ビビの好みと自己満足であって、美味しく食べてもらえれば気づかれなくとも良いのだが、口をつける前から気づいてくれた相手に目を輝かせて、それからすぐにパッと心配そうに口を抑えて、 )
そう、そうなんです!
ローリエとタイム、ギデオンさんすごい……あ、もしかして苦手でした?
あの店主さんに聞いたら、ギデオンさんも買っていったことがあるって仰ってたから、てっきり嫌いではないかと……
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