匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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ごめ、ごめんなさい、こちらこそ……
( 水着の上衣を盗まれたのを、頭ではきちんと理解していたはずだ。しかし冷静でいたようでいて、大波から開放され、初めて聞いたギデオンの声に深く安心すれば、ほっと油断して恋人兼相棒に腕を伸ばそうとしてしまい、物凄い勢いで顔を逸らしたギデオンに、ハッと豊かなそれを掻き抱いて。爽やかな南国の夏空の下、陸の仲間達や流されたエリザベス達とは離れていると言えど、拓けた海中であっという間に二人だけの世界が出来上がる。──もし見られたのが白く、だが微かに水着の跡を残す丸い双丘だけならば、ギデオンがここまで気まずそうにするはずがない。ということは──と、血液が集まってピンク色になる肌に、益々分かりやすく三角形の跡を分かりやすく浮かび上がらせれば。とにかくまずは気まずい思いをさせてしまったことへの謝罪を。相手は必死に此方を助けに来てくれただけであって、別にこの人に脱がされたわけでも、分かっていてわざと見に来た訳でもない。寧ろ盗まれたことを分かっていて無防備に手を広げた自分が明らかに悪いのだから──「──謝らないでくださいっ! それにギデオンさんなら大丈…………、ちが、……」だから、何故自分はこうも学習しないのか──言うに事欠いて何を言う気か、と口を噤むも。一応、この気まずい空気をどうにかしたかっただけなのだと弁明させて貰いたい。今度は、咄嗟に余計なことしか言わない口を塞ごうとして、ぷるん、と溢れそうになった胸を慌ててかきだけば、ズレた腕の位置が益々際どくなるばかりで。──自ら動けば動くほど悪化する事態に、どうしたものかと立ち尽くした瞬間だった。
改めて今、ビビは深い沖の方でも少しとび出た岩の足場を見つけ、そこに軽く体重を預けている状態だったのだが、ただの偶然かウーシュカの仕業か。これが逆にただ浮いているだけなら良かったものを、なまじ同じ場所に根を張ろうとしていたところへ大きな横波をくらい、一応まだ病み上がりの足元がずるりと滑ってしまったのだ。
──そうして起こったのは、見事なまでの半年前のリプレイ。ぐらりと揺れた上半身は、見事にギデオンの方へと吸い込まれ。身体を支えんと反射で出てしまった腕に、問題の駄肉は綺麗に放り出されて、ギデオンの──実はこの数日、あまりも美しさに直視を避けていた──腹筋の凹凸を掠めた瞬間。あくまで純粋な擽ったさに、んっ……と小さな吐息が漏れてしまい、カッと頭が沸騰する。本当に、どうしてこの人の前だとこうなのか──もうここから消えていなくなってしまいたい……。と、真っ赤になった顔を手で多いながらも、小さな声故に聞こえなかったかもしれないと一縷の望みにかければ。大きな瞳の羞恥の涙を堪えながら、頭上のギデオンを窺って。 )
…………今の。聞こ、ました……?
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