匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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そっか……事前に予測……
( ギデオンはまるで簡単な種明かしの様に笑って見せるが、教えてもらえばこんな簡単なことも思いついていなかった己に、相手との埋めがたい経験の差を見せつけられる。しかし、必要以上に悲観的になるでもなく、真剣な表情でぶつぶつと。本日の反省点を次回に活かすべく、新たな視点の吸収に勤しんでいれば。隣のギデオンの表情が悪く歪んでいく様に、思わず瞳を丸くして。そうして、ギデオンの提案に上げた視界に映った通り──『海産物をふんだんに使った磯料理屋、釣り道具屋、水着屋、流木や海の生き物の骨を使った民芸品店、珊瑚や真珠のアクセサリーショップ』──忘れもしない、約一年前。レイケルらの収入源を調べに資料館へと辿った通り、今隣にいる恋人とデートしてみたいと願った通りを目の前に、思わず建前も忘れ、これでもかと興奮が溶け込み輝く瞳をギデオンに向けて。 )
──……わあっ! 本当にいいんですか?
去年ここでギデオンさんとデートしたいなって思ったの!
それに合宿中はゆっくりできないと思ってたから嬉しい……ギデオンさん大好きです!
( ただでさえ興味深いものでいっぱいの賑やかな市を、世界一大好きなギデオンと並んで歩く。しかも今回は、相手直々に隅々まで堪能して良いとのお達しで。そんな素晴らしい機会を逃せるはずもなく。これがもし仮に訓練場にほど近い場所で、バレる危険性があったとしても、例の古代魔法を引っ張り出して来てでも遂行してやったに違いない。
──さて何から見よう。まずはお酒のアテになりそうな乾物などどうだろうか……と、周囲を見渡した瞬間。耳の脇の毛束を柔らかくとられる感触に、ふっとギデオンを見上げて。その優しい瞳の色に、直接相談したわけでもない些細な不便に気が付いてくれていた喜びがどっと押し寄せ、先程までの興奮から一転。空いている方の手で自身の毛先を弄び始めたかと思うと、もじもじとはにかんで「はい、」と頷く声の小さいこと。
貝殻のピアスに、色ガラスの首飾り。舶来の染料を使った鮮やかな髪紐、オーガンジーの白いリボン。ギデオンに引かれて覗いた店の品ぞろえは、簡素な路面店とは思えない程垢ぬけていて、こんな時でもなければ喜んで夢中になっただろうに。その可愛らしい品々の輝きも、隣の美しい恋人の前にはかすんでしまって選べない。最初こそビビを見て相好を崩した中年の主人が、色々な品を手に取らせてくれようとしたのだが、彼の奥さんらしい店員が奥から出てきて、さりげなく主人を奥に引きずっていったかと思うと──どうぞごゆっくり、と微笑まし気な表情を向けられてしまって。それまで碌に商品を見てなかったことを誤魔化すべく、少し恥ずかしそうな笑みでギデオンを振り返れば、桃色の首をこてん、と傾げて )
どれも素敵で悩んじゃいます……ギデオンさんはどちらがお好きですか?
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