匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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ち、ちがっ! ~ッ、笑わないでくださいよ!!
( よくもまあ、本気で人が恥じらっているのに、こうも楽しげに笑えるものだ──と。いつかの舞踏会以降感じていた相手の印象は、実は必ずしもビビ以外の人達にとって、既知では無いことを最近知った。堪らない羞恥と憤慨し、意地悪な恋人の肩をぺしぺしとやりつつも、この表情が自分だけに向けられていると思うと、ついつい強く怒れない。そうして、その後の子供にするような触れ合いや、過保護な言い含めに対しての方へ、よっぽど不満の表情を返しつつも。そんな余裕さえ、デレク、バルガス両名に決定的な瞬間を見つかってしまえば、一瞬のうちに吹き飛んで──結局ニコニコと2人。仲睦まじく手を繋いで帰路を歩いている。
そうして、崖の上の別れ際。落とされる唇や触れ合いに嬉し恥ずかしといった笑い声を漏らし、首をすくめながら仕事の話に耳を傾ければ。翌日の予定を確認し、オレンジ色の光を灯す玄関ポーチへ振り向こうとした、その間際。思い出したようにギデオンの袖を引いたのは、先程随分と笑ってくれた意趣返しのつもりで。その威力を察知していたかは兎も角、今回は確信犯だった爆弾と共に、愛しいギデオンの耳殼にリップ音を落とせば。後から恥じらいが追いつくその前に、元気よく頭を振り下ろして──ニコッと完璧な笑みで追撃し、捕まらない限りパタパタとコテージへ駆け出すだろう、 )
──……はい、かしこまりました!
ん、ふふ……そしたらとりあえず、皆さんと同じ場所に集合すればいいんですね。明日もよろしくお願いします、おやすみなさ……あ。
……あの、さっきのこと。ギデオンさんなら良いって言ったのは本当ですから…………それじゃ、おやすみなさい!
( 翌日。結局朝から始められた事情聴取に、ギデオンとビビの2人が警察署から解放されたのは、午後4時くらいのことだった。例の事件に、レイケルが捜査線上に上がるまでの経緯、ジェフリー達との指示関係、その劇的な最期について等々……真剣な顔の捜査官達から確認される数々の事項に、ビビはといえば──多分だの、確かだの、我ながら全く宛にならない返事しか出来ない一方で。あの状況でそこまで冷静に、それも1年間以上前の出来事を、と惚れ惚れする程スラスラとよどみなく答えるギデオンに惚れ直し、その格好良い横顔を、隣で存分に堪能するだけの時間となった。……それでもまあ、古代魔法の存在や、それが周囲に及ぼす影響等に話が移れば、一応面目躍如の働きは出来たのではないだろうか、多分。そう信じたい。
そんなビビにとってのボーナスタイムの結果、捜査官達の感謝の言葉──と、なんとも言えない生暖かい視線──を背に、警察署を出ると。ううん、と固まっていた身体を一伸ばし。まだ初夏の日は長くとも、今から海岸に戻ってもすぐに訓練が終わってしまうだろう微妙な時間に、仕事場では上司に当たるギデオンを振り返れば、夏空が良く似合う爽やかな笑顔で相手の指示を仰いで。 )
──お疲れ様でした!
ギデオンさんすっっっごく格好良かったです!
聞かれたこと全部スラスラ答えちゃうんですもん! 私も見習わなくちゃ!
……とりあえず、この後はどうしましょう、戻るにも微妙な時間ですよね?
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