匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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──やり方次第だ。……
(何かと純真無垢な相手を揶揄うこと……それ自体は、ギデオンの目論見通り、成功するにはしたのだろう。しかし問題は、ヴィヴィアン相手の勝負となると、最後には必ず敗けるのを、すっかり忘れていたことで。たった今の、いかにも純真な乙女らしいおずおずとした問いかけが……しかし、どれほど凄まじい破壊力を叩きだしたか。当のヴィヴィアン本人は、少しもわかっていないに違いない。
思わず言葉を失っているギデオンの顔は、若い娘を弄ぶ、悪い大人の愉快気なそれから一転。一見すうと落ちついたようでいて、この夏初めて見せる獣性が、その色を立ちのぼらせていた。──そうか、今のキスさえも、彼女にとっては淫らなうちには入らないのか。ならそのまま、あれもこれもいいことなのだと思わせながら、何とは言わずともどんどん教え込んでいこうか。それとも、いけない、“不純”なことだとわからせてしまった上で。それでも強請らずにはいられないよう、身も心もどろどろに堕としきってしまおうか………。普段は理知的な薄花色を宿しているはずの双眸は、今やざわざわと瞳孔が開いたために、その色合いを濃く深め。曖昧に応える声も、妙に低く掠れて、どこか渇きじみた気配が熱気のように絡みつく。頭の奥の理性は、まだその時ではない、今踏み出しても余計に辛抱がきつくなるだけだと、はっきり告げてはいるものの、夢の中のようにぼんやりとくぐもって聞こえない。ただ欲しい──ヴィヴィアンが、欲しい。恋仲になって尚、己の中にはまだまだ満たしきれていない深い欲が眠っていたのだと。そうはっきり書いた顔で、相手を無言で見つめ上げ。一度だけ、相手の背中と腰に手を添え直して、ごく軽く揺すり上げるような動作をしてから。少し前の平和な一幕とは反対に、今度はこちらが雛鳥になったかのように、口を開けて甘露を求め。)
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