匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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んっ……この前は一気飲みしたからで、少しなら飲めますもん。
( 一瞬白く飛んだ視界に思わずキュッと目を瞑ると、するりと抜けていく逞しい腕、明らかに手加減されつつも、彼と仲の良い冒険者たちがよく打ち込まれているそれを額に感じれば、他人行儀より少し距離が近づいた気がして、思わず額に手を当てたまま小さく笑い。形だけは不満げに唇を尖らせながらも、小走りでギデオンに追いつけば後ろで手を組み「それに酔ってもギデオンさんだけならいいじゃないですか」と無邪気に相手の顔を覗き混んで。勿論ヴィヴィアンにとっては、ただ単純に例の時とは違って、周りに勘違いされて迷惑を被ることは無いという意味なのだが。 )
──へえ、以外。この街の何処から金が出たんですかね。
( そうしてたどり着いた歴史資料館のエントランスにて。館内は展示品のために空調魔法でもかかっているのか、室外に比べサラリと涼しく湿度も低い。日々目まぐるしく躍動する貿易の街で、過去の遺産である歴史はあまり人々の関心を集めるものでは無いらしく、閑散として心地良い静寂に包まれた建物内に2人の足音が響く様は、この建物の広さを予感させる。目的のエウボイア号の資料の場所を探すべく、所蔵品の分類が示された何がしかを探して徐に周りを見回すと、エントランスでも1番目立つ中心部、天窓から差し込む日光を反射するガラスケース内の、人の腕を象った黄金の彫像に目を惹かれて。その指の皺さえ見て取れそうな精巧さに、ふと下の説明書きに目を落とせば、驚いたような感心したような声を上げてみせ。トリアイナのできる遥か昔、この入江に人々が移住する黎明期のグランポートは、金の輸出が盛んだったらしい。魔獣や妖精の悪戯、流行病に晒された厳しい開墾時代から、今の華やかなグランポートへの礎を築いたのは、この金から得た莫大な利潤だと、当時の彫刻と共に建都市秘話が記されている。この街で過ごした数日、金の出そうな山などは見当たらなかったが、なんせ魔法概論も成り立たぬ時代のこと、伝説の錬金術師や人智の及ばぬ魔物の存在を想像すれば、楽しそうに目を細めてギデオンを振り返り。 )
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