匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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……ッ、……!!
( ──苦しい、怖い、身体が沈む。ごぼごぼと口に入る海水に、噎せかえって呼吸もままならず。自分の手がバシャバシャと水を掻く音が、かえって気持ちを焦らせる。いつの間にかギデオンの姿も見えなくなって、沖にひとりぽっち。取り残されてしまったんだ──という錯覚に、「ぅ~~~うぇっ、……げほ、ッ」と。とうとう貴重な酸素を嗚咽して沈みかけたその寸前、ギデオンの胸がヴィヴィアンの身体を抱き留めた。──ギデオンと出会って、これ以上安心する場所はないと、執拗く教えこまれた腕の中。耳元に吹き込まれる頼もしい声に……ひっ、ひっ、と高速に震え上がっていた呼吸が、じわじわと落ち着き。未だ声にならない返事の代わりに、こくこくと必死に首を振る。そうして徐々に平静を取り戻し、滲んだ涙を拭ってみれば、そこはただの凪いだ穏やかな浜辺で。カトリーヌの為になる講座のお陰で、浜辺中の視線がこちらに集中していることに気がついてしまい。一人溺れて騒いだ羞恥に、かあっと顔に血が登る。それどころじゃないというのに、身体は救出されても尚、頭は未だ動揺しているようで。まるで赤子のようにギデオンに抱き締められているのが、恥ずかしくって堪らず。未だぐったりと震える身体をよじると、逞しい腕から抜け出そうとして。 )
……ギデオンさ、も、だいじょぶ……ありがとう、ございました、もう1人で泳げます……
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