匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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はいっ! 去年来た時もすっごく綺麗でしたけど……
こんな素敵なビーチで泳げるなんて!
連れてきてくださってありがとうございます……!
( それまで水中をゆっくりかき分けていたギデオンが、ヴィヴィアンを見つけた途端、勢いよく其方へと泳ぎ寄り。満面の笑みを浮かべたヴィヴィアンは、当たり前のように、2人だけの思い出を口にする。岸に向かって肩を並べ、仲睦まじく泳ぎ出した2人の関係の変化に、ほぞを噛む者、温かい視線をおくる者、はたまた呆れた視線を寄越す者。海から陸から集まる視線達から、2人を覆い隠すかの如く、その大波は立ち上がった。──次々襲い来る波には決して立ち向かわず、乗り越えられそうならば身を任せ、それが難しそうなら潜ってやり過ごす。頭では分かっていても、そのあまりの大きさに冷えた肝が、頼もしい声と暖かい指に霧散する。相棒の指示にこくりと頷き、絡められた指を握り返しながら固く瞼を閉じると、崩れた波が水面を叩いて、細かい泡に砕け散った音が頭上を通り過ぎて行く。水でくぐもった聴覚でそれを捉えて──「ぷはぁっ、」と。顔にかかった髪を掻き上げようとして気が付く。どうやら強い波に髪紐が流されてしまったらしい。波が大きく打ち寄せれば、その分引く波も大きいもの。支えるものを無くして広がった髪に気を取られた瞬間に、砂浜側にいるギデオンとの距離が開いたことに気がつけば、ビビの顔からサッと血の気が引いて。冷静になればまた次の波が押し寄せた際に、それと共に戻って来れると分かっただろうに。あの延々と続く水平線へと押し流されてしまうのではないか、という恐怖から繋いでいた手を力強く引けば。頼りな気なか細い声で恋人を呼んで、砂浜での触れ合いなど戯れに過ぎなかったと思い知らせるかの様に、その長い腕、脚、全身を使い、その広い背中に縋りつこうとして。 )
──っ、ひゃ……やぁッ、ギデオンさん! 離さないでっ……
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