匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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…………、
( 肩を寄せあって歩く、冒険者らしい佇まいの男と、薄花色の入院着を纏った女。果たして、ベッドから窓までのその短い距離の間、相手を支えて歩いていたのはどちらの方だったのか。振り返った相棒のその表情の意味を分かってはいても、その色鮮やかな幸福の光が、これまでのギデオンの苦難の影をより濃く映し出すようでもあって。その俯いた頬にそっと手を伸ばし、窓の外と同じ色をした新緑の瞳を穏やかに細めると、その強ばった表情を溶かすかのように包み込む。──これで、この人の荷を少しでも下ろすことが出来ただろうか。陽の光が差し込む暖かな病室に二人、ゆるゆると降りてきて、首筋に埋まるかと思った顔が、鼻先が触れ合いそうな距離でぴたりと止まり、至近距離から向けられる真っ直ぐな瞳に、ぶわりと体温が上がる。しかし、そんな僅かな緊張も、相手の零した小さな声を聞いた途端、呆れたような笑みとなって溶け出して。──本当に、仕方ないなぁ、と。この期に及んで、まだそんなことを言う相棒の頬を優しく擦れば。一瞬前の恥じらいは何処へやら、大好きな青を真っ直ぐに見つめ返しながら、はっきりと口にしたのは、13年越しに依頼を達成した相手への労いで。 )
……あの子達が今生きてるのはギデオンさんのおかげで、呪いを解いたのはアーロンさんでしょう?
私は後から、ほんの少しだけお手伝いしただけで──あの子たちを救ったのは、ギデオンさんとアーロンさんのおふたりです。
本当に、お疲れ様でした。
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