匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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( 優しい手に触れられると、余計気持ちが高ぶるようで。うぅー、と子供のような泣き声を漏らせば、ポロポロと温かな雫で相手を指を濡らして。離れていこうとする手にイヤイヤと首を振り、やっと触れられた大好きな手に、色の無い唇をそっと寄せる。そうして、その端正な顔立ちにべったりと疲れの色を張り付けた相棒に、それだけ心配をかけたことを──ごめんなさい、と。小さく唇の形だけで謝罪すれば、満足したように大きな手を離し、ゆっくりと首の角度を元に戻して。 )
……どうして、って。
そうだ……私 怒ってたんですよ──
( ──また一人で無茶をして、あんなところで一人逃がされたって嬉しくなんかない。そんなに自分は頼りにならないのか。ギデオンの質問に大きく目を見開いて、あの時、再開したら言ってやらねばと心に決めていた言葉達は、しかし、相手の辛そうな表情を見れば言葉にならなかった。相手がどれだけ頼りになって、心から信頼していたとしても、相手が喜ばないと分かっていて、その身を投げ打ってでも助けたいと願う心は、ビビもまた痛いほど良く分かっている。それ故、無機質な天井にぼんやりと視線を投げかけて、観念したように瞼を閉じれば。あの晩ヘレナと自ら対峙し、何を契約したのか──その全容を、何一つ包み隠さず語り切る。そうして、数日ぶりの覚醒に疲れきり、再び深い昏睡に引き戻されそうな顔を、もう一度愛しい相棒の方へさし向けて、その眠そうな表情の割にはっきりと漏らした一言は──次またギデオンが同じことをすれば、自分もまた同じことをする──という、自分を大切に思ってくれる相手への脅しに相違ないもので。 )
ねえ、ギデオンさん……私、反省も後悔もしないですよ
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