匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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──ギャッ!
( 淡い期待に白い頬を薔薇色に染めていた悪魔は、一見可愛らしいチョーカーから流れた電流に、短い悲鳴を漏らして固い床に倒れ込む。……どうして、アーロンさん。そう口にしたかった疑問は、唇が痺れて音にならず。もし仮に発音できたとして、それを聞くものなど誰もいなかっただろう。冷たい床の上、唯一動かせる金の瞳をギラギラと光らせ、アーロンを睨めつけ続けるのが精一杯。それからたっぷりヘレナを待たせてから、やっと億劫そうに帰ってきた男を睨みつけると、その瞳からはまるで被害者のように美しい真珠の涙がせり上がり、地面の茶色を色濃く染めて。 )
……ひどい、酷い!
折角助けてあげたのに! 痛かったのに! 熱かったのに!!
アーロンさんがアタシのこと好きって言ってくれたから、アタシお腹がすいても、辛くても我慢したのに!!
( わああ、と上がった泣き声はやはり何処までも自分勝手で救いようがない。自分の身を犠牲にして相手を守る、自分だってあの娘と同じことをしたのに、好きになってくれないのなら──やっぱり殺しておかなくちゃ。そう判断するが早いか、その瞳からピタリと涙が止まり。反対の腕で華奢な半身をはね上げると、その鋭い爪で、なんの躊躇いもなく相手の筋張った首筋を狙って。 )
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